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2019年3月4週号
春を告げる野菜「フクタチ」 - JAうご新成園芸組合

 【羽後町】食卓に並ぶと春が来たと言われる、町特産の葉物野菜「フクタチ」。JAうご新成園芸組合では、15戸の組合員がハウス2900坪で栽培し、現在収穫が最盛期を迎えている。全部で約17㌧を見込む出荷作業は、来月下旬頃まで続く予定だ。
 フクタチは県南部で昔から食されてきた野菜。秋にハクサイの種を播き、越冬させてから収穫する。播種後にハウスが雪に埋まって寒気にさらされると、フクタチの中に種を残そうと花芽を作り、芯を伸ばす「とう立ち」を始める。この状態で収穫したものは、寒締めの相乗効果もあって特に甘みが強くなる。独特の歯ごたえと優しい甘みが特徴で、おひたしや炒め物、サラダなどにして食べられている。
 高橋和幸組合長(45)は「自分が子供の頃、秋に植えたハクサイが玉になれず雪の下になり、春までおかれて自然と、とう立ちになったものを食べていた。組合の先輩方が、その野菜が商品にならないかと始め現在に至っていると聞いた」と話す。
 同組合では、2014年8月に「ひばり野ふくたち」として商標登録をした。その中でもとう立ちした物には「これぞとう立ち」のシールを貼り差別化を図る。秋田市と横手市の青果卸2社へ出荷し、県内のスーパー等で流通している他、JAうごのホームページ上でも販売する。

 斉藤伸一副組合長(42)宅でも、スイカ50㌃と、ハウス520坪でのフクタチやトルコギキョウなどで周年経営を行っている。現在はフクタチの収穫真っ盛りで、「2月20日頃から予定していた収穫が3月に入ってからとなったが、上手く寒気にあたったことから、まあまあの出来栄えだ」と話す。
 家族経営をしていたが、JAうご園芸メガ団地に入り、今春からはハウス2000坪でトルコギキョウとフクタチでの周年栽培を始める予定だ。「先輩たちの取り組みがあって、ひばり野ふくたちやひばり野オクラ、ブラックきゅうりといった多くのブランド野菜もできてきた」と斉藤副組合長。「トルコギキョウがメインの経営にはなるが、ひばり野ふくたちを冬期間の貴重な作物として品質を高め、さらに認知されるよう取り組んでいきたい」と力強く話す。
次号をお楽しみに!