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2019年9月3週号
比内地鶏の副産物 採卵にも注力 - 秋南比内地鶏孵化場

 【羽後町】比内地鶏の雛や鶏肉、鶏卵の生産・販売を行う、羽後町新町の秋南比内地鶏孵化場(富永哲夫代表=88歳)。飼料に独自の工夫を凝らすなど、高付加価値商品の生産・販売に努める。

 同孵化場は営業を始めて今年で15年目。元々養鶏業を営んでいた佐藤重悦相談役(82)は、「県がブランド鶏である比内地鶏の飼育を強く推進していた事もあって、飼育に挑戦してみた」と振り返る。「以前、比内地鶏の偽装事件が起こってからは県の認証制度が徹底されている。認証を受けていても、定期的に県の調査も入ってくる」と飼育の厳しさについて話す。
 孵化場の主力は雛の生産だが、副産物として肉と卵の販売も行い、三千羽弱を採卵用、千羽を肉用として飼育。卵は一般的な鶏より採卵性が低く、通常で毎日約90%の鶏が卵を産むとすれば、比内地鶏は65%~70%ほどまで落ちる。その代わり、味が濃い卵になるという。
 与える飼料に気を配り、「高品質で良食味の物を生産する事を念頭に置いているため、通常使用されている飼料より高い物を与えている」と説明。「卵特有の生臭みを消す為、木酢液を飼料に混用している。また、卵の黄身の色が濃くなるように、パプリカも飼料に混ぜている」と工夫を凝らす。これにより、黄身の色を判断する1~14の数字の中で、一般的な卵が8前後であるのに対し、同孵化場の卵は11~12の色になっているという。
 同孵化場は、地元の道の駅や県内スーパー、県内外の加工業者や東京のアンテナショップ等と幅広い顧客を持ち、商品を販売している。佐藤相談役は「新たな商品開発と、より宣伝に力を入れて消費者へのPRを徹底したい。コストは掛かっても高品質、良食味を追求し、高付加価値なものの生産に努めていきたい」と将来を見据える。
次号をお楽しみに!