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2019年10月3週号 大館市の農家たち③
国産とんぶりの一翼担う - 川口由政さん
 【大館市】とんぶり2・2㌶と水稲3・5㌶を手掛ける、大館市比内町沢の川口由政さん(54)。国内有数のとんぶり生産農家の一員として、母の歌子さん(74)とともに栽培している。
 とんぶりとは、ほうき木の果実を収穫するもので、通称「畑のキャビア」と呼ばれる。見た目は直径1~2㍉の粒状で、無味無臭。昔から一般的に納豆やとろろに入れて食べられているが、最近ではシーチキンとあえてパンにつけて食べるなど、食感を楽しむ食材だ。
 国内では大館市産のものだけが販売され、8戸の農家が22㌶ほど栽培する。ほうき木は風が強いと実が落ちてしまうが、同地区は山に囲まれて風が少ないため、とんぶり栽培に適している。また、加工にかなりの量の水を使うため、山が多く地下水が湧き出ている点も恵まれている。
 栽培は、5月に畑に播種・間引きをして、6月にかけて移植機で別の畑に移植。追肥・土よせは年に2回行う。「良いとんぶりを作るには、土づくりが一番重要。肥料設計とタイミングは収穫量に直結する」と話す。また、青ムシとウンカに注意し、年に2回防除する。
 収量は10㌃あたり500㌔ほど。9月に汎用コンバインで収穫し、乾燥は平面型の乾燥機で行う。その後、共同の加工施設で処理し、すべてJAに出荷。県内の他、首都圏へ流通される。
 「栽培する上で一番厄介なのが台風。実が落とされてしまうのが怖い」と川口さん。「水稲と収穫時期が重なるため、水稲用の乾燥機ととんぶり用の乾燥機を二つ見なければいけない。その時期は寝る暇がないほど忙しい」と話す。
 「仕事量的に面積は増やせないが、手間暇を惜しまずに消費者に良い製品を届けたい」と意欲を見せる。
次号をお楽しみに!