農業共済新聞

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2020年2月3週号
健康に配慮した糀を - 今井糀屋
 【能代市】創業から108年続いている能代市の今井糀屋。曾祖父の代から始まり、現在は今井勇太さん(37)と母の裕子さん(65)が切り盛りしている。先代の味を受け継ごうと試行錯誤し、無添加のみそやこうじを造り続ける。

 勇太さんは高校まで家業を継ぐ気はなかったが、卒業後の進路について悩んでいた時に東京農業大学の醸造科を知り、入学を決意した。大学で醸造について勉強していたところ、父親が大きなケガをし、卒業後すぐに家を継ぐことが決まったという。ところが数年後に父が他界し、さらに東日本大震災で糀室が損壊。営業ができなくなった。
 店舗を改装して営業を再開することができたが、常連客からは「昔の味と違うね。前の方が美味しかった」と言われることがあったという。勇太さんは、「新しい糀室だと今までの当たり前が通用しない。試行錯誤を繰り返したが、思ったようにできず毎日悩み不安でしかたなかった」と話す。

 糀の原料の米は、秋田県産の「あきたこまち」を使用する。「日々の外気温や湿度に応じて糀室の温度と湿度を調整し、納得のいく糀を作れるようになった」と笑顔を見せる。「糀屋として、糀は基本中の基本で要。糀の良し悪しでみそや甘酒の味が決まるので、毎日の糀室のチェックは欠かせない」と話す。
 店舗では米糀のほか、三十割糀みそ、塩こうじ、レモン塩こうじ、甘酒(ノーマル、りんご割、抹茶割)などの商品が並ぶ。また、みそは受注生産もしていて、塩や大豆、米の割合指定や材料の持ち込みも可能。年に100件以上の注文を受けているという。

 最近は、手軽にみそ汁が飲める「生味噌玉」も販売している。「今後地元の食材を乾燥させて、みそ玉の具材にできたら」と話し、「農家や地元の方の健康に配慮した、無添加でおいしいものを届けていきたい」と意欲を見せる。


 ▽今井麹屋=能代市住吉町10‐21(℡0185・52・6415)▽営業時間=午前9時~午後6時半、毎週日曜日定休
次号をお楽しみに!