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2018年5月2週号
シイタケの原木栽培 - 石塚滿さん
 【秋田市】山々の緑に囲まれ、昔ながらの風景が残る秋田市河辺の鵜養(うやしない)集落。その入口にあるハウスで、石塚滿(みつる)さん(70)が原木シイタケの収穫と出荷作業に汗を流す。

 石塚さんがシイタケの原木栽培を始めたのは今から30年前。勤めていた会社を35歳で辞め、河辺の実家へ帰った。山林に囲まれた鵜養地域の特色を生かした仕事がしたいと思った石塚さんは、県の職員からの提案を受けて、シイタケの原木栽培に着手。40歳から本格的に栽培をスタートさせた。
 栽培に使用する原木は全てナラの木で、森林組合などから購入している。原木にシイタケの種菌を植え付ける「植菌」作業を3月に行い、菌糸を活着させるため2カ月ほどハウス内で仮伏せし、その後、林内に運び本伏せをする。植菌してから収穫まで1年半ほどの期間を要するという。
 栽培する主な品種は「JMS 5K‐16」。大きなかさと強いうま味が特徴だ。「シイタケ本来の味の濃さ、歯応え、豊かな香りなど、原木栽培ならではの味わいがある」と石塚さんは話す。
 シイタケ栽培の主流が、人工的な培地を使った菌床栽培となっている中、時間と労力が必要な原木栽培をあえて続ける石塚さん。
 「原木の価格は年々高くなっているし、植菌したホダ木に雑菌が入らないよう管理しなければならず、手間がかかる。そのため、菌床栽培のシイタケに比べて正直値段は高い」と話す。それでも「食べた方から『滿のキノコはやっぱりうまいな』と言われることがうれしく、栽培を続ける励みになる」と前向きだ。

 石塚さんのシイタケをよく食べるという同集落の佐藤義(よしお)さん(84)は、「滿さんは真面目な性格。シイタケはそのまま焼いて食べている。とてもおいしいよ」と話す。
 石塚さんは今後について「今のままの経営規模を維持し、お客さんから喜ばれるような栽培を続けていきたい。あと10年は頑張りたい」と意欲を見せる。石塚さんが育てたシイタケは、市内の直売所などで販売されているほか、注文があれば直接販売もしている。
次号をお楽しみに!