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2020年8月1週号 獣害に打ち勝つ①
クマリンゴ園と隣接の畑に電気柵 - 伊東忠敏さん

 「10年ほど前から果樹園にクマが出るようになった」と話すのは、北秋田市鎌沢で「ふじ」や「王林」などのリンゴ45㌃を栽培する伊東忠敏さん(80)。毎年7月中旬から収穫が終わる11月中旬まで、電気柵を設置してクマ対策を行っている。
 伊東さんのリンゴ園は、戦時中、父親が5㌃に木を植えたのが始まり。20年前に林野庁を退職するとともに、専業農家としてリンゴ園を受け継いだ。集落でクマを見るようになったのは、10年前からだという。
 園地に侵入したクマは主幹と主枝の間に座ってリンゴを食べるため、「枝が折れた木は収量が落ち、回復までに3、4年かかる」と伊東さん。当初は4色に変わるライトを設置したが、1週間ほどでクマが慣れてしまい、再度被害に遭った。ラジオを流したり爆竹を鳴らしたりしたが、園地から人がいなくなったときの対応が難しく、5年前にJAから資材を全額自費で購入し、電気柵を設置した。
 クマは柵のそばまで来るが、中に入ることはなくなったという。「リンゴの残ざん渣さを放置するとクマが寄ってくるので、近隣の養鶏農家に餌として提供している。お返しに鶏をもらえて一石二鳥だね」と笑う。柵を設置するほか、園地周辺の草刈りを徹底することでクマが隠れにくい環境づくりをしている。
 昨年は北秋田市から補助を受け、ソーラーパネルを設置し、隣接する畑10㌃に電気柵の範囲を広げた。園地が隣接する果樹農家も、昨年までに電気柵を設置し、集落としての対策も足並みがそろってきた。
 「それでもクマが頻繁に来る場合は、市に連絡して檻おりを設置してもらったり、猟友会に駆除してもらったりしている。今後もクマ対策を徹底して、質の良いリンゴをお客さんに届けたい」と話す。
次号をお楽しみに!