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2020年11月3週号
都内から移住し地域の魅力を発信 - 遠山桂太郎さん

 2014年3月に都内から一家4人で秋田市河辺に移住した遠山桂太郎さん(55)。農業を軸とした交流活動を通じて、学生や県外の人たちに地域の魅力を発信している。

 都内でフリーカメラマンとして活動していた遠山さん。東日本大震災をきっかけに、自身の生活や物事の価値を考え直す機会が多くなっていた。
 そんな中、13年に都内で開かれた「ふるさと回帰フェア」に参加。河辺雄和商工会の「芸術の里かわべゆうわプロジェクト」を知った。河辺を訪れて歓迎を受けた遠山さんは、生まれ育った宮城県大崎市の中心部よりも「自分のルーツがあるように感じた」と移住を決意。横手市出身の妻・幸子さん(56)と子供2人も「都会に比べて落ち着く」と気に入ったという。
 農作業は移住2年目に開始。集落の人たちから田畑を借りて農作業を教わり、現在は水稲30㌃やライ麦10㌃のほか、大豆やフィレンツェナスなど60㌃で多品目を栽培する。
 自家消費がメインだが、来年の夏以降は河辺地区の「薪窯ベーカーkabocha(カボチャ)」にライ麦を出荷し、パンに使われる予定だ。
 また、遠山さんは昭和期に横手市大沢の沼山地区で盛んに栽培されていた「沼山だいこん」を作付ける。近年は流通がなく“幻のダイコン”とも呼ばれ、県農業試験場で栽培と採種が続けられていた。遠山さんと、潟上市や大仙市の農業者計3人がダイコンを譲り受け、18年から栽培している。
 遠山さんは年間約800本を収穫し、4分の3をいぶりがっこに加工。東京の知人に販売するほか、農作業に一緒に汗を流した人への「能力給」として渡す。
 遠山さんは農産物の栽培だけでなく、国際教養大学や、非農家の市民との共同による農作業など幅広く活動。さらに発展させるため、県の「魅力ある秋田の里づくり総合支援事業」に応募し、20年度のモデル事業に採択された。今後、活動の拠点となる古民家の改築や農産物の加工施設の建設など、県の支援を受けながら充実させる予定だ。
 河辺地区の農家で、遠山さんの指導もする鈴木義弘さん(67)は、「1年のうち300日くらい一緒に過ごす家族同様の存在。高齢化が進む集落で学生たちと活動するのは、活性化にもつながってうれしい」と話す。
 遠山さんは「小さい田んぼならではのオーナー制度や、国際教養大の学生との交流を生かした海外への加工品の輸出など、今あるものを生かした農業に面白さを感じる。販売や交流まで含めて考えると、農業には未来がある」と話す。
次号をお楽しみに!