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2021年4月1週号
和牛一貫経営 A4以上9割が目標 - 栗山純一さん
 両親と妻、息子と5人で複合経営を行う鹿角市八幡平の栗山純一さん(48)。自分の代から和牛肥育を導入して高品質で出荷するなど、和牛一貫経営に力を入れる。農業歴24年の中で、日々変わる技術を勉強し続けている。

 当時の秋田県立農業短期大学を卒業し、県畜産試験場で2年間研修した後、就農した。「親と違う品目をやってみたかった」と、親の代まで和牛繁殖だったが自分の代で肥育を始め、一貫経営にシフトした。
 現在飼育する和牛は、繁殖牛27頭、肥育牛45頭、子牛9頭。さらに水稲1・4㌶や発酵粗飼料(WCS)用稲、牧草、葉タバコを栽培し、日中は時期に合った作業をしながら、朝と夕方に給餌や牛舎の掃除を行う。
 肥育牛は県食肉流通公社を通じて「秋田牛」として出荷される。年間で25頭ほど出荷し、「A4、A5等級9割以上」が目標だ。
 「自分に合った血統を見つけることが大事」と栗山さん。人気の血統でも自分の飼育スタイルでは太り過ぎたり、病気になりやすかったりする場合があるので、注意が必要だという。
 「就農当時は肥育牛の出荷時の平均生体重量が700㌔で枝肉が430㌔くらいだったが、今は生体で800㌔、枝肉も530㌔を超える」と話す。それに合わせて餌の量も1日8㌔から11㌔と増えた。就農当時の血統の牛はいなくなり、技術も年々変わるため勉強が欠かせないという。牛をよく観察することが大事で、食欲が落ちたらビタミン剤や添加剤を飼料に加えるなどの対応をする。

 また、県畜産試験場が実施する黒毛和種種雄牛を選抜するための「現場後代検定」に毎年協力。「義平福」が昨年10月に亡くなり、期待される「黄金乃花」は成績が優秀で、栗山さんは黄金乃花の子牛を飼育する。「よく食べる牛で、元気あり育てやすい」と期待を寄せる。
 栗山さんの牛舎では毎月分ぶん娩べんがあるため、監視カメラを設置。家族全員のスマートフォンにアプリを導入することで、牛舎につきっきりでいる必要がなく、効率が良くなったという。
 JAかづの営農経済部畜産担当の田口尚見さんは「黒毛肥育生産部会の部会長を務める栗山さんは、若い頃から繁殖と肥育どちらか一方の価値が上がったときでも頭数が偏らずに飼育し続けていて信頼感がある。リーダーシップもあり理想的な部会長」と話す。
 今までは牛舎が空けば肥育素もと牛うしを市場から導入することがあったが、「息子が24歳で就農したので、今後は繁殖牛を30~35頭に増やし完全一貫経営を目指したい」と栗山さんは意気込む。
次号をお楽しみに!