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2021年5月1週号
樹上熟成の甘いリンゴでジュースを製造 - 陽気な母さんの店 果樹部会
 大館市曲田の体験交流型直売所「陽気な母さんの店株式会社」で新発売された「寒熟りんごジュース」。通常よりも長く熟成されたリンゴをジュースに加工することで、砂糖や添加物を使用しなくても甘くておいしいと人気を呼んでいる。

 寒熟りんごジュースは、同店果樹部会(畠山和子部会長、67歳、部会員18人)が開発した商品。今年2月に商標登録された「寒熟りんご」を加工している。通常、10月下旬から収穫する晩生種「ふじ」と「王林」を、寒さが増す11月中旬ころまで樹上熟成させることで、甘味が増しておいしくなるため“寒さ”と“熟成”を組み合わせた“寒熟”が誕生した。
 部会では以前からリンゴを使った加工品を個々に出品していたが、「もっとブランド力のある商品を開発しよう」と考え、開発に踏み切ったという。交流がある秋田県農林水産部農業経済課販売戦略室の加藤はなゑ主査の協力を得て、販売にこぎ着けた。
 ジュースの加工は青森県平川市の工場に委託し、部会員がリンゴを直接届ける。部会の畠山市子幹事(70)は「軽トラックにリンゴ箱を積み込むのもお母さんたちでやるよ」と話す。部会員で出荷する箱数を決めて軽トラック2台で運び、製品と空き箱を持ち帰る作業を分担して行っている。
 出荷する加工用リンゴは買い取り価格を平均より高めに設定。また、糖度が低く熟していない果実は買い取りせず、部会員の収入アップと価格維持につなげている。今年は20㌔で120箱を加工したという。
 商品ラベルは、農家のお母さんが仕事をしているイ向けたワークショップに同市のデザイン事務所「スリーペアデザイン」の三浦梨恵子デザイナーを招き、部会員の意見を取り入れながらラベルをデザインした。畠山部会長は「この店は修学旅行生や、近くの農家民宿に泊まる外国人などに人気がある。多くの人に分かりやすく、親しみやすいデザインになっている」と話す。
 同店の石垣一子社長(67)は「この店でなければ買えないので、皆さんにぜひ来ていただきたい。店の主力商品になってほしい」と期待を寄せる。
 畠山部会長は「一度飲んでもらえれば、おいしさを感じてもらえると思う。無添加なので、赤ちゃんや体の弱い人にも飲んでもらいたい」と勧める。「今後は寒熟りんごシリーズでコンポート(果物の砂糖煮)などに挑戦していきたい」と意気込む。 
次号をお楽しみに!