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2021年5月2週号 農福連携の推進へ②
安全作業へ声掛けを重視 - ㈱農業舎
 大仙市大沢郷寺の株式会社農業舎では、同市刈和野の多機能型事業所ありす刈和野と委託契約を結び、農作業を共同で行っている。
 同社では、伊藤裕樹代表取締役(41)が1人で水稲20㌶の栽培に取り組む。人手が足りないことから、元々知り合いだった事業所の生活支援員・鎌田智さん(39)を通じて話が進み、一昨年から契約を結ぶ。
 事業所は就労継続支援A型事業。農作業や、事業所の関係施設の掃除などを行い、賃金を受け取りながら一般就労に必要な知識を身に付ける。
 利用者4人のうち交代で2人が同社で農作業に汗を流す。鎌田さんが必ず同行し、草刈りや播種などに励む。伊藤代表や鎌田さんが労働安全衛生特別教育の一環として刈払機取扱作業者教育の講習を受けているため、利用者が草刈機を安全に扱えるように教えられるという。
 鎌田さんは「障がいの特性として集中力が切れることがある。危険が伴う作業もあるので、声掛けを大切にしている」と話す。言葉だけで伝えることは難しいため、マニュアルを必ず作成している。作業を順序立てて考えることが難しいが、繰り返し教えると作業が早くなるという。
 伊藤代表は「自分がいない所で作業が進むのは助かる。手直しが必要なこともあるが、仕事を任せると予想よりも早く終わる」と感心する。 同社では、昨年から今年にかけて降った大雪で、ハウス2棟が倒壊。取材当日はハウスの解体作業を行い、利用者は伊藤代表や鎌田さんに教わりながら丁寧に取り組んでいた。
 利用者の高橋さんは「たたく順番が決まっていたり、けがをしそうな作業があったりして最初は戸惑ったが、今は楽しくやっている」と話す。伊藤代表は、「契約するまでは、ほぼ1人でやっていて、諦めることがあった。生まれ育ったこの地域に恩返しをするためにも、今後も共同で作業をして田んぼを守っていきたい」と笑顔を見せる。
次号をお楽しみに!