農業共済新聞

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2022年2月1週号
無人ヘリ防除 信頼関係を築きながら - 株式会社荒谷
 無人ヘリコプターによる農薬散布を請け負う三種町大口の株式会社荒谷(荒谷由範代表取締役、63歳)。水稲40㌶を栽培する傍ら、地元八竜地区を中心に無人ヘリ防除を手掛け、15年目になる。地域の防除効果を高めることを目標に、手際よい作業で取り組んでいる。

 無人ヘリ防除散布は、荒谷代表取締役の息子、由行取締役(35)がチームの中心になり作業に当たる。農家から安心してもらい、互いの信頼関係を築くため、年間の作業スケジュールを立て、効率よく作業することを心掛けている。
 例年5月から依頼者名簿作りや面積の取りまとめを行い、6月上旬から7月上旬は、除草剤やオリゼメート剤を空散。5~8月までは、メインとなるいもち病と斑点米カメムシの防除に向け、散布図面の作成と平行しながら散布作業を進める。
 空散実施日までに、圃場には農道から見える位置にプラカードを設置。散布期間中にプラカードへ散布月日や薬剤名などを記入して、依頼者に農薬散布の情報を提供する。プラカードの設置による詳細な散布情報の告知は、依頼農家や散布圃場の周辺農家に安心してもらいたいとの思いからだ。
 「病害虫予防、防除効果を発揮させるため、初めて実施する圃場については、地域の人から田んぼの土質や圃場条件を聞くこともある」と話す由行取締役。圃場や稲の状態を考慮して薬剤を散布する。散布中に見つけた病害は、依頼者へ連絡。素早い対応で被害を最小限に食い止めるよう細心の注意を払う。
 由行取締役は「経験上、紋枯病の薬剤は茎の下まで行きわたらせる必要がある。風圧がとても重要で、小型無人機(ドローン)の防除でも効果はあるが、無人ヘリは風圧が強く、確実な防除が期待できる」と強調する。
 高校卒業後、北海道の短期大学へ進学し、無人ヘリの資格を取得した由行取締役。卒業後に帰郷してから同社の無人ヘリ作業に従事している。免許取得当時の無人ヘリ機体価格は1千万円。初操縦時について「高額なヘリを飛ばすため、さまざまなことを考えてしまい緊張から手が震えた」と振り返る。
 同社が使用する無人ヘリを整備している秋田スカイテック株式会社の整備担当者は「今後も地域のため、空散を頑張ってほしい」と期待を寄せる。
 就農当初に「農家の基本は田んぼ」と荒谷代表取締役に教えられた由行取締役。今年も農家の基本を忘れずに「町内の他地区で依頼があれば散布する」と、地域全体の防除効果に気を配りながら従事する考えだ。 
次号をお楽しみに!