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2022年3月1週号
伝統守り品質向上目指す - 千葉弥志裕さん
 「長く、白く、食感の良い根にするのを心掛けている」と話す湯沢市三関地区の千葉弥志裕さん(56)。同地区で古くから栽培されている伝統野菜「三関せり」を手掛ける。反省と勉強を重ねながら品質向上を目指し、伝統を守り続けている。
 三関せりは長くて白い根とシャキシャキした食感、風味が特徴。葉から根まで全て食べることができる。千葉さんは「寒くて茎が上に伸びない分、根が下に伸びていく。山の麓から湧き出る水と粘土質の土が三関せりに合っている」と話す。
 水稲1・2㌶とオウトウ40㌃を手掛けながら、三関せりをハウス4棟8㌃と露地8㌃で栽培。露地が9~11月下旬、ハウスは12~2月ごろに収穫し、ほとんどをJAへ出荷している。
 自家採種のため、収穫した中で短い株(全体の約5%)を次年用に保管する。4月下旬に畑へ植えて繁殖させ、8月下旬から9月下旬に苗を圃場へ移植。苗代に置くだけだが、間隔が狭いと横に成長できずヒョロヒョロになり、間隔が広いと横に広がって長さが足りなくなるため難しいという。
 「除草剤を使うと三関せりに害が出ることがあるので、雑草が生えてきたら小まめに取るようにしている」と千葉さん。雑草を放置すると土の中で悪影響を及ぼし、根が茶色くなるため注意を払う。

 メガ団地でセリとネギの売り上げ増加を目指す同地区の関口園芸団地組合では、2020~21年にかけてハウス41棟を整備。近年では若いセリ農家が増えているため、「三関せりの勢いは、これからも増していくと思う」と笑顔を見せる。
 JAこまち三関せり出荷組合の奥山優一組合長(67)は「三関せりは14年に地域団体商標として登録され、鍋ブームもあって人気が高まった。今後も出荷組合の一員として栽培を続けてもらい、組合員と一緒に三関せりを盛り上げていきたい」と話す。
 9年前から父と母、妻と4人で栽培している千葉さん。「今でも何かしら失敗し、反省と勉強を毎年繰り返している。いかに長くて白い根にできるかを考えて、これからも工夫を凝らしていきたい」と意欲を見せる。
次号をお楽しみに!