農業共済新聞

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2021年4月3週号
農薬使わず米作り - 坂本寿美子さん
 鹿角市八幡平で農薬を使わずに水稲30㌃を栽培する坂本寿美子さん(46)。この米を「ゆきのこまち」と名付け、会員制交流サイト(SNS)を通じて販売している。さらに、玄米茶への加工と6次産業化に挑戦している。

 農薬を使わずに水稲栽培を始めたのは5年前。実家の水稲圃場約5㌶のうち、坂本さんに10㌃が与えられた。「田植え以降、農薬と肥料を施用しないことにし、インターネットから情報を集めて自分なりに挑戦した」と話す。
 一番苦労するのは除草作業だという。稲が高くなるまでは除草機を使用するが、その後は手作業。7月ごろまでに除草機での作業を3回行い、その後の作業を効率的にすることを目標としている。
 1年目は刈り取りが遅れ、稲に雪がかぶってしまうというアクシデントがあった。「慣行栽培の米と混ざらないよう刈り取るタイミングを分ける必要があり、収穫作業が遅れた」と坂本さん。しかし、雪の重みで倒れずしっかりと立ち、無事刈り取りができた。「稲の持つエネルギーと雪にも負けない姿に感動し、ゆきのこまちと名付け販売した」と話す。
 田植え前から農作業の様子をSNSで発信していた効果があり、購入を希望する声が多く、売り切れたという。開始3年目には、予約の段階で完売となるまでになった。
 「お客さんや家族から『甘味や香りが強くおいしい』という声をいただき、子供からも『玄米でもおいしい』と言ってもらえてうれしかった」と振り返る。

 県内の女性農家の組織「あきたアグリヴィーナス」などで一緒に活動している戸嶋めぐみさん(41)は、「SNSを積極的に活用していて、発信力のある方。商品化された玄米茶もおいしい」と話す。
 農薬を使わずに栽培した圃場には、今までいなかった生き物が見られるようになった。「水路にイワナやサワガニの姿を見つけて驚いた」と坂本さん。今では、ゆきのこまちを作ることは環境保護の意識が大きいという。「今後は、地域で農業体験できる場所を設け、『つくる』ことを感じてもらえる活動もしていきたい」と意欲を見せる。
次号をお楽しみに!