あきた版5月3週号
特許取得の熟成みそ 発酵食の発展と継承へ - よこて発酵文化研究所
横手市内の農業者や食品加工・販売業者、日本酒蔵元などが加入する市民団体「よこて発酵文化研究所」。同研究所内の組織で、麹こうじ店の4会員で設立した「発酵のまち横手FT事業協同組合」では、抗菌ペプチド含有のみそ「熟成味噌ディフェンシン」を製造している。特許を取得。同研究所ではみそを通じ、発酵食文化の継承とさらなる発展を目指す。
熟成味噌ディフェンシンは同市内産「あきたこまち」と大豆「秘伝」が原料。製造は4月に始まる。ふかした米に種麹を植菌して繁殖させ、米麹を造る。種麹には大仙市刈和野の株式会社秋田今野商店が培養する麹菌を使用。ふかした大豆と食塩、水を米麹に混合し、発酵させる。各麹店で8~15カ月熟成させて持ち寄り、横手市増田町三又の合資会社羽場こうじ店でパック詰めをする。
一般的なみそに比べて麹を多く取り入れ、大豆に対し約3倍の米麹を使用。甘みがあり、味わい深く仕上がる。400㌘入りで同市内
のスーパーやインターネットで販売するほか、同市のふるさと納税返礼品に提供している。また、同研究所会員の飲食店でも使用され、今後は同市内の菓子店でみそを使った商品開発も計画中だ。
特許の発明者で同研究所の多賀糸敏雄所長(81)は「横手のみその効能を専門家に検査してもらったところ、免疫力を高める抗菌物質『ディフェンシン』が含まれていることが判明した。ディフェンシンの効果を最も引き出す大豆や麹を研究し、現在の商品が完成した」と振り返る。2019年に「ヒトβディフェンシン2誘導味噌」として特許庁に申請。23年9月に同組合が特許を取得した。
同組合に加入する同市平鹿町醍醐の伊藤こうじや店主の伊藤仁さん(69)は「原材料は全て一級品を使用し、温度管理に注意を払って製造している。体に良い食品なので販路を拡大し、たくさんの人に知ってもらいたい」と話す。
同研究所では、普段の食生活に手軽に取り入れられるよう、チューブ型の商品を検討するなどみその需要拡大を目指す。また、発酵文化を発信するイベントを、昨年に引き続き開催予定だ。
多賀糸所長は「まず地元の方々に購入していただき、発酵食文化を継承していきたい。ゆくゆくは海外への販売も併せ、次のステップへ進みたい」と意気込む。
次号をお楽しみに!