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あきた版7月3週号
小ギク さらなる品種選定進める 需要期の安定出荷へ - 金子弥生さん

 「農作業は楽しい」と話すのは、由利本荘市大内地域の金子弥生さん(39)。露地で小ギク32㌃を手がけ、盆と秋彼岸の需要期に安定出荷できる品種の選定を進める。収穫最盛期に向け、良品質の出荷量の確保を目指す。
 県の未来農業のフロンティア育成研修を修了し、2023年に就農。同地域に農地を借用し、盆用と秋彼岸用を8品種ずつ、それぞれ1万6千本作付ける。
 3月下旬に親株から穂木を採取し、盆用は4月上旬に苗作り、5月1日前後に定植する。活着したら摘心し、バランスを見ながら脇芽を3本残して仕立て、7月下旬から収穫を始める。秋彼岸用は作業を1カ月ずらし、8月下旬から収穫。JAに出荷するほか、大内地域農産物直売所「ひまわり」で販売している。
 病害虫防除のため、4~5日に1回農薬散布。降雨後は、白さび病が急激に広がりやすく「雨が続くと防除ができず、心配で落ち着かない」と話す。複数の天気予報を見比べるなど、気の抜けない日々が続く。
 由利本荘・にかほ地域の主力品種は20年ほど変わっていないため、近年の極端な高温で開花遅延などが発生してきているという。金子さんは、従来とは違う品種を少しずつ取り入れ、模索を続ける。「今年も盆用に夏系品種の『精こう

め』などを取り寄せた。赤、白、黄色を千本ずつ定植し、気候に合うか試している」と向上心を持って取り組む。
「『農業は大変だ』と周囲はいうが、翌日に思いをはせて眠るほど農作業が楽しい」と金子さん。人手が必要な際はパートを雇用する。「みんなと仕事するのはワクワクする。達成感が気持ちいい」とほほ笑む。
 研修時から技術相談を受けている県農業試験場野菜・花き部花きチームの山形敦子主任研究員は「勉強熱心で行動力もあり、目標に向かってどんどん進む姿に感心している。弥生さんのような生産者の役に立てるよう、頑張らなければと励まされる」と話す。
 
 金子さんは作業記録を見返し、作業の効率化や雇用人数の最適化を図る。「今年は10㌃当たり2・5万本の出荷を見込む。目の届く範囲で責任を持って取り組み、単位当たり収量のアップを目指したい」と意欲を見せる。
次号をお楽しみに!