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2019年9月4週号
自走式作業機で作業効率向上へ - 佐藤義雄さん
 【秋田支局】JAこまちネギ部会長を務める、湯沢市関口の佐藤義雄さん(69)。自走式作業機「葱魔神(ねぎまじん)」を独自開発し、ネギの出荷作業の効率化を図っている。

 葱魔神ができるまでは、規模拡大を図っても収穫したネギの運搬や残渣の廃棄が増え、余計な労力が増すばかりだった。売り上げが伸び悩み、コストばかりが膨らんで利益が出ず、「ネギはやめて、別の作物をメインにしよう」と家族会議までになった。妻・頼子さん(66)が「ネギの圃場に作業場を作ればいいのでは」と提案したところ、義雄さんが「圃場から自宅の作業場までと、圃場内に建てた作業場まで運ぶのでは、労力はそんなに変わらない。いっそ作業場が移動できればいいが」と反論。これに対する頼子さんと息子・義粋さん(40)の「そんなのできるわけがない」という発言に発奮し、機械いじりが得意な義雄さんが製造に着手した。

 葱魔神は、駆動部に廃車したコンバインの足回りを利用した、自走式の屋根付き作業場。8畳ほどの広さで、発電機とエアコンプレッサー、ネギ調整機を備え付けた。圃場内など近場の移動では自走するが、遠くへ移動する際は折りたたんでトレーラーに乗せて運ぶことができる。
 収穫するネギのそばまで動かすことができるため、持ち歩くことなく作業機に積み込み、すぐに調整・箱詰めが可能。また、発生する残渣はそのまま圃場に捨てられるため、廃棄の手も掛からない。作業効率が向上したことで労働力に余裕が生まれ、義雄さんはネギの管理作業に専念できるようになり、品質も向上したという。
 現在は約4㌶で栽培し、経営を義粋さん夫妻に譲っている。葱魔神は製造し続け、自身の圃場では4台が稼働。作業機一台当たり3人体制で、一日約5㌃の収穫・箱詰め作業をこなす。
 「葱魔神を導入してからは、息子夫婦共々、農業に対する意欲が増して家族の絆も高まった。一番のメリットだ」と話す。
次号をお楽しみに!