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2021年1月1週号 農業研修に汗③
母の出身地に東京から移住 - 谷本弾さん
 「移住して農業をすることに抵抗は無く、むしろ楽しみだった」と話すのは、大館市で農業研修を受ける谷本弾さん(24)。2020年に東京から移住し、個人経営を目指して技術習得に励む。
 都内の大学を卒業後に埼玉県の農業法人で2年間働き、コマツナやタマネギ、トウモロコシ、クワイなどを栽培。その後、20年2月に大館市に移住した。「母親の出身地で元々興味があった。人口減少が進んでいる大館を何とかしたいと思い移住した」と振り返る。
 親戚のつながりもあり、4月からは同市中山で水稲30㌶やネギ40㌃、ナシ1・3㌶、リンゴ1㌶を栽培する石垣博隆さん(42)の下で研修を受けている。
 これまで主に水稲やネギなどの作業に取り組んだ。「初日の土作りからもみの播種、ネギの管理・出荷調製など、付きっきりで教えてくれた。最初は不安だったが、安心して作業できた」と笑顔を見せる。埼玉では従業員として、とにかく作業をしていたが、今は丁寧な指導によりしっかり学ぶことができ、何をすれば良いか考えながら行動できているという。
 「石垣さんは『果樹を知れば全ての作物を知れる』と言い、果樹の話もしてくれる」と谷本さん。「良い肥料や農薬ではなく、種子が持っている潜在能力を引き出すことで良い作物を作る」と教わったという。
 石垣さんは「しっかりした若者で、作業を教えると自分で考えて動ける。農業者として、経営者として成長し、お互い切せっ磋さ 琢たく磨ま できる関係になれれば」と期待する。
 谷本さんは最短で2、3年後に独り立ちしたいと考え、現時点ではアスパラガスに興味があるという。「異なる品目や、いろいろな人の栽培方法を知りたい。正式に品目が決まったら、別のベテラン農家に研修に行くことを考えている」と説明する。
 個人で経営を始めて自分の生活が懸かったときに、防除や出荷をこなし、確実に稼いで生活できるかが不安だという。「周りの農家に頑張っている姿を見せて、地域の人を支えられる人間になりたい」と谷本さん。「将来は1千万円稼げるようになりたい。“農業はこんなに稼げる”と良い手本になり、若者をたくさん引き入れたい」と目標を掲げる。 
次号をお楽しみに!