2021年8月2週号 花きで活路見出す③
適期防除に細心の注意 - 運藤正さん
水稲2㌶のほか、露地70㌃とハウス1棟75坪でキクを栽培する横手市境町地区の運藤正さん(73)。年間を通して、露地の輪ギクと小ギクを約8万本、ハウスのスプレーギクを約2万4千本生産し、JAへ切り花で出荷している。
運藤さんは水稲を栽培しながら公務員として勤務し、2009年3月に定年退職。専業農家となり、数年間、さまざまな品目を試行栽培した後、先輩農家からノウハウを教わる「ブラザー制度」を活用し、キク栽培について学んだ。
毎冬、キクの親株をハウスで保管。3月ごろ、芽が出てきたら穂木を採取し、セルトレーに挿す。ハウス内を温かくして発根させ、ある程度育ったら定植する。
露地植えは、出荷の時期を考慮し、3回に分け定植。活着したら芯止めして、脇芽を輪ギクなら3本、小ギクは5本残し、高さを80㌢前後に仕立てる。
ハウス栽培は、2重被覆構造にして、スプレーギクの抑制栽培を年2回行っている。1回目は盆に照準を合わせて栽培し、関東方面へ出荷する。収穫後、秋系の品種を8月に定植し、11月下旬まで出荷が続く。
「品質管理のため、防除に気を使う。適時の薬剤散布はもちろん、除草作業も小まめに実施している」と運藤さん。カメムシやアブラムシなど、それぞれの害虫に効く薬剤を花の様子に合わせて散布するのに苦労しているという。
今冬の大雪でハウスが倒壊。中で保管していた親株が凍結して使用できなかった。「新たに親株を購入して育てているが、今までと品種が異なるので特性をつかめず、試行している」と話す。ハウスは園芸施設共済の共済金を利用して春に再建し、横手市農業者等復旧支援事業も活用する予定だ。
「花作りは面白い。出荷の時、特にそう感じる」と運藤さん。栽培を始めて10年になるが、「気象など毎年条件は異なるため、できた花にまだまだ満足していない。もっと品質の良い花作りをしたい」と技術向上に意欲的だ。
次号をお楽しみに!