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2022年4月1週号
農業体験プランが人気 大舘の魅力を世界に - 農家民宿「酒こし舞」
 大館市粕田地区で農家民宿「酒こし舞」を営む山内俊隆さん(78)、トシさん(75)夫妻。心のこもった接客と農業体験で愛される民宿に向けて取り組んでいる。近年は訪日外国人旅行者が地域や農村の魅力を発信し、地域おこしにつながっている。

 農家民宿を始めた当初は、大部分が国内の宿泊客。2017年、農林水産省の「農山漁村振興交付金」に大館市まるごと体験推進協議会の事業が採択されたことで、宿泊客層が変化した。
 この事業は、外国人観光客を対象に地域資源を用いた農業体験や宿泊をしてもらい、宿泊客から交流サイト(SNS)や動画投稿サイト「ユーチューブ」に投稿してもらえれば、無料で宿泊を受け入れるという内容だ。
 外国人ユーチューバーなどから話題が徐々に広まっていき、海外の宿泊客が増えた。19年の宿泊客は155人中108人が外国人。台湾から欧州まで、およそ20カ国・地域になった。
 宿泊客にはまず歓迎のセレモニー。その後、体験プランを選び、滞在計画が決まる。水稲30㌃とブドウ、野菜を栽培する酒こし舞では、田植えや稲刈り、ブドウ収穫などが人気プランだ。
 夕食は本場大館のきりたんぽ鍋。山内さん夫妻と一緒に“たんぽ”を作って、いろりで焼き上げる。出来上がったたんぽを切り分け、下準備した材料と鍋に入れて、きりたんぽ鍋が完成する。
 宿名の酒こし舞は同地区に160年前から伝わる伝統芸能で、どぶろくを造る工程を表現した踊りだ。しかし、酒こし舞は複数人でないと踊れないため、食事中に衣装に着替えた山内さん夫妻が「秋田おばこ」の踊りを披露する。「国籍がさまざまなので外国語は難しくて話せないが、ジェスチャーと唄と踊りで気持ちはつながる」と俊隆さん。山内さん夫妻の踊りをまねて、一緒に踊る人が多いという。
 翌日は、朝6時30分の“秋田弁”ラジオ体操から始まる。朝食後には習字体験を用意。習字教室を営む俊隆さんが先生となり、手ほどきをする。日本文化に触れてもらうための欠かせないメニューだ。
 同市移住交流課でまるごと体験推進協議会事務局を担当する佐藤元げんさんは「大館市の魅力を伝えようと民宿を紹介している。山内さん夫妻のお客さまからは、たくさんの喜びの声が届く」と話す。
 山内さん夫妻は「人と会うことが楽しくて民宿を続けている。自分の気持ちも若返るし、早くコロナが落ち着き、またたくさんの人に来てほしい」と話している。
次号をお楽しみに!