農業共済新聞

トップ > 広報活動 > 農業共済新聞 2022年9月2週号
2022年9月2週号
大雪に負けず果樹作 - 髙橋澄さん

 横手市大屋寺内の髙橋澄さん(90)は、農業歴75年のベテラン果樹農家だ。「ふじ」や「シナノスイート」などのリンゴ1・7㌶を中心に、ナシ20㌃やブドウ10㌃を息子の仁志さん(62)と共に栽培。JA出荷や直売所での販売を行うほか、贈答用も生産する。
 澄さんは「これまで大きな病気はしたことがないよ。脚立に乗ることが多いから、安全には十分気を付けている」と話す。1983年からは果樹の損害評価員として活動。長年、損害評価に出務し、地域の農業に貢献してきた。
 果樹栽培は、澄さんの父親が山の斜面を開墾して開始。「父は体が弱かったので、自分が頑張らなければという気持ちだった。栽培技術は近隣の農家で働いて習った」と振り返る。
 積雪の多い県南部で、出稼ぎをせずに専業農家として取り組んできた澄さん。大雪の苦労について「印象的なのは四八豪雪。3・6㍍を超える積雪で、雪掘りがとても大変だった」と説明する。枝折れで復旧を諦める農家が多かったが、澄さんは2カ月間、毎日園地を除雪。無事に収穫時期を迎えることができた。その年は産地全体で収量が減少したため、例年より高値で販売できたという。
 85年の第108回種苗交換会では「王林」を出品。1等賞を受賞するなど、長年にわたり産地をけん引してきた。「ほかの人には負けないようにと思って頑張ってきた。リンゴ栽培で最も重要なのは摘果。中心果をしっかり見極めることに努めている」と基本を忘れない。
 園地は自宅から700㍍ほど先にあり、毎日弁当を持って作業に向かう。「農作業では機械に頼り過ぎたり、軽トラから降りずに田畑を見たりしているようではいけない。足を運んで目を配り、道具は自分で手入れをする。そういう姿勢が大切」と農業の後輩たちへアドバイスを送る。
 「『おいしかった、また来年も頼む』と笑顔で言われると、作って良かったと思う。趣味の庭木の手入れで息抜きをしながら元気に頑張りたい」とほほ笑む。
次号をお楽しみに!