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あきた版2月2週号
干し餅 - 上西野ほし餅保存会
 県の伝統的な保存食「干し餅」作りが、横手市雄物川町の上西野地区で最盛期を迎えている。
 同地区は鳥海山から吹きおろす寒風「鳥海おろし」と雄物川の放射冷却の影響で、近隣地区より2~3度気温が低い。厳しい寒さの中で乾燥させて仕上げる干し餅作りに適した土地とされている。
 農家5戸からなる「上西野ほし餅保存会」の佐藤春樹会長(48)は、20歳のころから干し餅作りに携わっている。佐藤会長は「干し餅の特徴はサクサクとした食感。餅に含まれる水分が凍り、乾燥の過程で水分が抜けて気泡ができることで食感が生まれる」と説明する。
 材料のもち米には、自家産「きぬのはだ」を使用。餅をついて型に流し、4㌢四方に切り分けて1㍍のひもで20枚を編み込んでいく。それを氷水に漬けてマイナス20度の冷凍庫に一晩置き、氷点下の外気温の中で約2週間乾燥させる。
 餅をひもで編み込む作業は、同地区の農家6戸に依頼している。「編み手が朝から作業できるように、前日から準備して切り分けた餅を早朝に届けるよう心がけている」と話す。
 干し餅作りは12月下旬から3月上旬ごろまで続く。ひと冬のうちに使用するもち米は保存会で7200㌔、そのうち佐藤さんは4200㌔だという。
 「干し餅作りでは天気予報のチェックが欠かせない」と佐藤会長。今季は正月まで順調だったが、1月中旬は暖かい日が続き、乾燥作業に苦労したという。
 昔は全ての工程が手作業だったが、現在は機械で行う作業が増えている。「身体的負担は軽減したが、餅を型に流し込んだり、持ち運んだりする作業があるから大変」と話す。
 干し餅は、しょうゆ砂糖や塩、小豆、カボチャなど味のバリエーションが豊富。「かまくらほし餅本舗」の名前で、県南のスーパーや道の駅十文字、直売所などで販売している。
 過去には小学校に出向き、干し餅に関する出前授業を行うなど食文化の継承にも取り組んできた佐藤会長。「これからもお客さんの要望に応えて作り続け、次の世代に干し餅を伝えていきたい」と張り切る。
次号をお楽しみに!