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あきた版5月3週号
ナシ園地を第三者継承 4月に就農 産地のけん引役へ - 高橋一成さん、真由さん
 今年4月に果樹農家として就農した男鹿市角間崎の高橋一成さん(25)、真由さん(25)夫妻。男鹿市鵜木のナシ農園「めぐみ農園」を引き継ぎ、園地2㌶で「幸水」「秋泉」「南水」など6品種を手がける。地域に溶け込んだ果樹農家を目指して作業に励む。
 高橋さん夫妻は県外から秋田県立大学へ進学。一成さんは宮城県、真由さんは兵庫県の生まれ。真由さんの姉が男鹿市の地域おこし協力隊だった縁があり、特産品の「男鹿梨」にも魅力を感じたため、同市で果樹栽培への就農を決意した。
 在学中には果樹園のインターンシップに参加。基本的な作業を学んだ。大学卒業後は、果樹試験場天王分場で未来農業のフロンティア育成研修を2年間受講。研修中から同市やJA秋田なまはげの協力を受け、一緒に園地を探した。約35件訪問した中で、めぐみ農園を営む渡部啓一さん(80)と出会った。
 渡部さんは引退を考えていたが、木がまだ若く、このまま離農するのはもったいないと考えていた。「高橋さん夫妻と出会い、園地を任せたいと思った。男鹿梨の産地を守り、地域をけん引するリーダーに育ってほしい」と期待を寄せる。
 高橋さん夫妻は4月中旬から、人工授粉に必要な花粉を採葯するための「花摘み」作業を行った。明日にも咲く蕾つぼみを選び、手作業で摘み取ることで、花粉の
採取量が多くなる。次年度分の花粉も採取し、保存をする。
 研修中だった昨年、春先の凍霜害や高温少雨で試験場のナシ8割に被害を受けたという。その経験から、今後は農園にスプリンクラーの設置を検討する。また、青色申告を開始し、災害時の収入減少を補てんする収入保険に加入予定だ。
 まずは営農を10年間継続し、地元の一員として認められるナシ農家になることを目標に掲げる。「渡部さんの味を守りつつ、自分たちの特色を生かし、消費者に喜ばれるナシを作ることで感謝を伝えたい」と真由さん。一成さんは「秋田県種苗交換会で、優れた農産物に与えられる農林水産大臣賞受賞を目指し、将来的に農家の皆さんと共に一大産地を盛り上げていきたい」と力を込める。
次号をお楽しみに!