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あきた版4月1週号
ネギ 農福連携で規格外を商品化 経営基盤強化へ - 菅生和喜さん

 潟上市天王でネギ1㌶を栽培する菅生和喜さん(31)。農業の傍ら異業種交流にも力を入れ、農福連携に挑戦する。秋田市保戸野の就労継続支援B型事業所「ハッピーシャムロック」へ規格外品を提供し、ネギ入り大判焼きを商品化。さらなる展開に向け構想を練る。
 菅生さんは就農6年目。3月下旬以降定植に取りかかり、例年より早い6月下旬からの収穫を目指す。今年産は品種を「夏扇パワー」に絞り、全量をJAへ出荷。通年で従業員1人と、繁忙期には妹と共に作業に従事する。
 農業で起業したいと考え、県が実施した未来農業のフロンティア育成研修を受講。修了後は露地野菜を志望し、近隣のネギ農家に師事する。定植と土寄せを重要視する菅生さん。苗から滴るほどの水分量で定植し、活着に注意を払う。10㌃当たり3・5㌧の収量を目標に掲げる。
 昨年は雑草の繁茂に苦労したという。「天候不順で見通しを立てるのが難しいが、生育ステージで必要な対応をしっかり見極めたい」と反省を次に生かす。ネギは多湿に弱いため、さび病や黒斑病に警戒し、新しい肥料が出た際には情報収集して取り入れるなど研究に余念がない。
 秋田市雄和でネギを栽培する柴田樹さん(32)は「菅生さんは情熱的で、すぐ

に踏み出す行動力のある方。若手農家として、お互いにサポートしながら切磋琢磨したい」と話す。
 また、経営力の強化には業種を超えた学び合いも重要と考える菅生さん。県内の若手事業者向けコミュニティー「open class(オープンクラス)」を2023年に立ち上げた。会員数は現在16人で、講習の企画や情報交換にも積極的に取り組む。
 福祉事業者と意見交換した際には、規格外品の活用について提案されたという。「廃棄するネギがあると伝えたら、大判焼きに使えないか相談された。マヨネーズ入りの試作品はとてもおいしく、食品ロスの低減ができた」と振り返る。同事業所で冬季限定販売し、好評を得たという。
 手応えを感じた菅生さんは農業の人手不足と、就労支援の機会
提供は相乗効果を生み出すと着目。「ラズベリー栽培など、機械化がされていない作業に障害者の方を派遣するなど、農福連携に引き続き取り組んでみたい。消費者需要の高い品目の人手不足解消につながるのでは」と模索を続ける。
 今後は最少人数で最大の利益創出を目標に掲げる。「安易な規模拡大ではなく、しっかりと手をかけ品質の高いネギ作りを追求したい。法人化も視野に入れ、経営面の強化に力を入れたい」と話す。
次号をお楽しみに!