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あきた版4月3週号
”親方”下で技磨く 母の故郷で来年、独立就農 - 谷本弾さん

 大館市中山で水稲70㌶とナシ1.3㌶、リンゴ70㌃を栽培する石垣農園株式会社(石垣果奈子代表取締役、従業員3人)。農業を志し東京都町田市から移住した社員の谷本弾さん(29)は、同社の石垣博隆会長(47)に師事し、独立を見据え技術習得に励む。
 谷本さんはアルバイトとして入社し、6年目。JAあきた北の青年部に所属する。田植えや稲刈り、果樹の剪せん定ていなどに汗を流し、研さんを積む。田植え後の除草や水管理に力を注ぐ。「どの作業も面積が多いので大変だが、終わった後はやり切った達成感があってうれしい」と話す。
 大学在学時に地方創生を研究し、母親が生まれ育った大館市の人口減少に危機感を抱いたという。「大館に愛着があり、衰退していく現状を打破したかった。卒業後は基幹産業の農業に従事したい」と決心した。
 同社では水稲「あきたこまち」や「めんこいな」などを作付け。谷本さんは農作業の中で機械操作に細心の注意を払う。小型無人機(ドローン)を使用した病害虫防除や大型コンバインでの刈り取りなど事故防止のため、丁寧な作業を心がける。「操作は難しいが、とても勉強になっている。農業のスキルを学びながら働けるのはありがたい環境だ」と笑顔を見せる。
 谷本さんは、今年2月末に開催された第71回JA全国青年大会「JA青年の主張」部門に

出場した。農業を志す若者を弟子として迎え、経験豊富な農業者が師匠として一人前に育て上げる「親方就農」をテーマに発表。最優秀賞に輝いた。
 石垣会長は「谷本さんは、人とつながる力がある。農村での生活や農業になじみ、地元の人に認められて素晴らしい。今後も大館の担い手として活躍してほしい」と期待を寄せる。
 一方で谷本さんは、就農希望者の受け入れ体制を問題提起する。「農業に挑戦したい若者がいても、受け入れる環境が十分に整っていない。地縁がなくても取り組める土台づくりをしっかりと行い、次
世代の農業を発展させていきたい」と話す。来年、独立を予定している谷本さん。「今年は石垣農園での集大成の年と考えている。米の収量アップを目指したい」と決意を示す。
次号をお楽しみに!