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あきた版5月1週号
あきたこまち食味コンで3度の栄冠 小まめな水管理重視 - 阿部静夫さん

 「あきたこまち」誕生から40年作付けを続ける、にかほ市釜ヶ台の阿部静夫さん(73)。鳥海山麓の標高280㍍ほどの山間部で、水稲3・8㌶と大豆40㌃を栽培する。水管理や施肥など卓越した水稲栽培が評価され、コンテストでも複数回の受賞歴を持つ。今年も良食味米作りに汗を流す。
 早播き、早植え、早刈りを行う「三早栽培」発祥の地といわれる釜ヶ台地区。阿部さんは、先代から三早栽培を受け継ぐとともに、特別栽培米に取り組む。作業時期や肥料、農薬の使用量など数々の厳しいルールにのっとり、基本に忠実に作業。「安定した収量の確保はもちろんだが、食味を重視している。水管理には最も注意を払い、小まめに圃場巡回する」と話す。
 昨年の水管理は移植から5月下旬が水深4㌢、6月上~中旬が2㌢、6月下旬~7月上旬が10㌢。中干し後の間断灌水は水深3㌢とし、8月上旬から落水までは8㌢にしたという。基肥には「特栽30号」を10㌃当たり41・6㌔と「新エコペースト」を同14㌔投入。追肥は「ケイ酸カリ」を同20㌔使用した。
 JAグループ秋田が開催する「美味しい“あきたこまち”コンテスト」で、阿部さんは昨年、3度目の最優秀賞に輝いた。出品数71点の中から受賞。今回で10回目の入賞を数え、顕彰状も併せて授与された。

 最多受賞を記念し「あきたの名匠がつくったあきたこまち」として都内のデパートで限定販売。「コンテスト開始当初から出品し続け、10回の入賞が評価され本当にうれしい。これからの米作りの励みになる」と笑顔を見せる。
 JA秋田しんせい西部営農センターの伊東清春さんは「勉強家で、講習会などにも積極的に参加し、意見や知識を取り入れ、実行に移す人。真剣な取り組みが受賞につながり誇りに思う」と称える。
 長年、良食味米を作り続けている阿部さんは、経営リスクへの備えも怠らない。収入保険に2019年から加入する。「米価下落や低温による生育不良の際に補償を受け、とても助かった」と話し、NOSAIの総代として保険の心強さを周囲へ伝える。
 田植え後に低温が続き、深水にした際に苗を観察した阿部さん。「強い生命力を感じ、かわいらしいと思った。水加減や天候で毎年同じようにはいかないのが難しくも、面白い」と米作りの奥深さを話す。
本年産米も出品を目指して春作業に励む。「体力が続く限り『名匠米』の名に恥じないおいしい米作りを引き続き頑張っていきたい」と意気込む。
次号をお楽しみに!