あきた版6月1週号
昨年、水田に土砂流入 - 小林糾臣さん
上小阿仁村五反沢の小林糾臣さん(49)は、水稲を6・8㌶で、アジサイをビニールハウス2棟で、スイートコーンなどの露地野菜を10㌃で栽培するほか、餅を製造する。収入保険には母親が制度開始時から加入。2022年に経営移譲し、小林さんが継続加入している。
同村での離農者の受け皿となり、水稲の面積を徐々に拡大。当時のJAあきた北央の勧めで、5年ほど前にアジサイの栽培を開始した。「いろいろな作物の栽培に積極的に挑戦できるのも収入保険に加入している安心感があるから」と信頼を寄せる。
小林さんの水田の大部分は、河川の増水で土砂流入被害を受けやすい場所にある。以前は水稲共済に加入し、共済金を受け取ったこともあった。しかし、7割補償だったため、十分に満足できる金額ではない年もあったという。補償の厚さに心強さを感じ、収入保険の移行に迷いなく賛成した。
昨年7月、梅雨前線の影響で県北部を中心に猛烈な雨を観測。同村内を流れる五反沢川と仏沢川が氾濫し、災害救助法が適用されるほどの大きな被害となった。堤防が決壊し、小林さんの水田面積の約3分の1に河川の水が流入。稲が土砂に埋もれ、収穫できない状況に陥った。ビニールハウスと農機具を格納する農作業場も浸水した。
見込農業収入金額に対し3割以上の大幅な減収が予測されたため、NOSAIにつなぎ融資を申請。手続きはスムーズに行われ、短期間で融資を受けることができた。遅滞なく資材などの支払いに充当でき、今年の営農計画も立てやすかったという。
「何度も水害は経験しているが、あれほどの被害は初めて。今年は復旧できず、作付けできない圃場もあり深刻だ。収入保険に加入していて本当に良かった」と小林さん。「収入保険は幅広いリスクに対応していて魅力的。健康面に不安があり体調が優れない中で農作業をすることもあるため、安心感が大きい。今後は現在の規模を維持しながら、安定した家族経営を継続したい」と話す。
次号をお楽しみに!