あきた版6月1週号
自然災害に鳥獣害 - 長谷川巖さ ん
2023年と24年の契約で保険金等を請求した秋田市下新城中野の長谷川巖さん(72)。「幸水」などナシ5品種やブドウ、モモを合計1㌶のほか、ナガイモやホウレンソウなどの野菜を60㌃で栽培する。果樹の収量が自然災害や鳥獣害で減少したが、今年も前向きに営農を続けている。
23年は春先の降霜でナシとブドウの花芽が枯死し、結実不良となった。さらに、クマの食害で収量が減少。長谷川さんは「クマが出ない場所だと思っていたが、米ぬかに釣られて園地に来たようだ。収穫間近のナシが広範囲にわたって食べられて驚いた」と振り返る。カラスの食害も発生し「鳥害は毎年のように出ている。袋をかぶせたり防鳥ネットを張ったりしているが完全には防げない」と話す。
昨年は、果実の肥大期に当たる8月の降水量が平年の3分の1ほどと少なく、ナシが小玉になる被害もあった。出荷規格に満たないものも見られ、収入減少につながった。
見込農業収入金額の4割を下回るほどの減収が懸念され、家族への給与が払えないと不安に思っていた長谷川さん。保険金等が支払われたことで家族の生活が守られ、今年の営農費用としても活用している。
収入保険はNOSAI職員の勧めで知り、自然災害だけでなく年間を通してさまざまな被害が補償対象となることに魅力を感じたという。加入を見据えて青色申告を始め、2
2年に果樹共済から収入保険へ移行した。「青色申告は難しいイメージだが、簡易簿記のためスムーズに切り替えできた」と話す。
50年近く農業を続ける中で、台風や潮風害などの被害を多く受けてきた。果樹は自然災害の影響を受けやすく、近年は鳥獣害も目立つ。安心して営農を続けられるよう、今後も収入保険への継続加入を考えている。
長谷川さんは家の前に設置した自動販売機で農産物を直売するなど、販売方法を工夫し固定客を獲得する。「適期に決められた作業をこなし、現状を維持するのが目標。買ってくれる人に『おいしい』と言ってもらえる作物を今後も届けたい」と話している。
次号をお楽しみに!