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あきた版1月1週号
リンゴ「秋田19号」 小ぶりも蜜入り極めて多く - 秋田県農業試験場

 秋田県果樹試験場では、リンゴ新品種の開発と普及に向け、研究を重ねている。「秋田19号」は「秋田2号(『ふじ』×『東光』」と「やたか」を1988年に交配させた種子から育成した。10月下旬から11 月上旬に成熟する。果重は200~250㌘とやや小ぶりだが、蜜入りが極めて多い。
 同試験場品種開発部の高橋功部長は「摘果時期が早過ぎると、大きくなり過ぎて本来の特性が発揮されない。5㌔入りの箱に22~24玉入るほど小ぶりに作ってほしい」と話す。ふじの受粉樹として使用できない点に注意が必要だという。
 甘系で酸味が少なく「デリシャス」系に似た芳香がある。果皮は黄色で、果面には橙赤色のくすみが見られる。蜜は徐々に減少するものの、普通冷蔵で3月末まで貯蔵が可能だ。
 秋田19号は県オリジナルリンゴ品種の第1号「千秋」の食味の良さを引き継ぐ新品種の開発試験の過程で誕生した。蜜入りと食味は良かったが、小ぶりで扱いにくく外観も劣るため、評価を得られず2012年に現地試験を一時中断した。
 しかし、食味の良さと蜜入りの多さに注目した一部の生産者から「ぜひ、作ってみたい」との強い要望があったことや、試験場としては次世代リンゴの育種親として期待でき
ることを考え、19年に品種登録した。JA等の系統出荷には向かないものの、秋田19号の独特な特徴を生かし、ブランド化に向けた動きも生まれているという。高橋部長は「今後も生産者自身の発信力で蜜入り美しさとおいしさを伝えてほしい」と認知度向上に期待を寄せる。

 現在も有志で現地検討会を継続。生産者からは外観で蜜入りの程度を見分ける技術を求める声が上がっているという。また、今冬は冠雪による樹上の果実への影響について調査を進めている。
 生産技術の確立に至るまで、長い年月を要する新品種の開発。今後の展望について高橋部長は「本来の育種目標に合致しないものでも、個性のある品種を選び、残していくことで、多様化する消費者のニーズに対応できる。さまざまな特性を持った品種の開発を通じ、産地の活性化に寄与したい」と話す。
次号をお楽しみに!