農業共済新聞

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2021年9月1週号
昆虫養殖にシイタケの廃菌床利用 - Pilz㈱
 横手市平鹿町のPピルツilz株式会社(2019年設立、従業員6人)は、県内トップクラスのシイタケ菌床の製造と菌床シイタケの栽培を手掛けている。2020年春に使用済みの菌床を再利用して、カブトムシなどの昆虫養殖を開始。持続可能な経営が注目されている。

 現在、ハウス18棟で菌床シイタケを周年栽培している同社。栽培に使う菌床製造も手掛け、年間製造個数は20万菌床に及ぶ。
 同社の畠山琢磨代表取締役(33)は「周りの農家も自分も使い終わった菌床の取り扱いに悩んでいた。砕いて田畑にまくしかなかったが、大館の昆虫養殖を手掛けるベンチャー企業からの問い合わせがきっかけで、再利用の方法が大きく変化した」と話す。
 昆虫養殖は幼虫が成長するときに食べるマットに経費がかかることがネックになる。シイタケ菌床はマットと原材料が同じ広葉樹。菌床の使用を続ける限り、低コストのマットを作れることが可能だ。使用済みの菌床と米ぬかなどの添加物を配合することで、幼虫の成長を助けるという。
 Pilzは使い終わった菌床を加工したマットを業務提携したベンチャー企業に供給。代わりに昆虫の養殖方法を教えてもらい、養殖と販売の取り組みを開始した。Pilzと周辺の農家から使用済み菌床150万個を集めて再利用した。
 現在、ヘラクレスオオカブトやアクティオンゾウカブトなど希少性の高い海外種のほか、在来のヤマトカブトムシやクワガタムシなど約30種を飼う。施設1棟で3千~5千頭ほどを飼育し、周年で1万頭の養殖を目指す。
 昆虫事業部の最上谷哲さとる統括部長(41)は「幼虫のマットは定期的に交換して様子を観察する。種類によっては木でふ化させたり、休眠させるため冷蔵庫で冷やしたり、温湿度の管理に気を付けている」と話す。
 昆虫が出したふんの利用も検討している。ほぼ無臭のペレット状で栄養豊富なため、肥料として使用できないか模索。近隣で栽培するホウレンソウで施肥実験に取り組む。
 畠山代表は「菌床シイタケは値段と販売量で多産地と競争をしてきた。使用済みの菌床を昆虫養殖や肥料に再利用することで、持続可能な経営となる。環境に配慮したシイタケというイメージでよそとの違いをアピールしたい。昆虫養殖自体が県の特産になったら面白い」と期待している。
次号をお楽しみに!