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2021年11月2週号 園芸施設共済で雪害から再建①
対策講じるも被害 - 矢野利文さん
 横手市十文字町睦合の矢野利文さん(62)は水稲3・5㌶のほか、ハウスを利用したホウレンソウやアスパラ菜の栽培などを手掛けている。野菜作で利用するハウス2棟と、主に育苗用で被覆していないハウス2棟が、今年の年明けからの大雪で全て被害を受けた。
 「過去の雪害経験から対策を取っていたので、被災したのはショックだった」と矢野さん。施設内に木の支柱を立てるほか、落雪や施設脇の融雪を図るため、5年ほど前に融雪パイプを設置した。しかし、一気に2㍍近くの降雪があり、住まいの除排雪で精いっぱいだったほか、仕事で除雪作業にも従事していたため、ハウスの周りまで作業が間に合わなかった。
 融雪設備は低温で例年のような効果を発揮できず、ハウス側面の雪は滑らず側面に付着したまま凍結。その上に雪が積もり、屋根面まですっぽり覆われ、重みに耐えきれず倒壊した。
 
 園芸施設共済に加入している矢野さん。「被害を確認してほしいと連絡したところ、悪路の中、担当のNOSAI職員が現場に来てくれた。雪で確認できない所は、雪解け後に再確認してもらい、想像していたよりも迅速に進んで助かった」と話す。資材不足の影響はあったが、春には建て直しに取り組むことができたと安あん堵ど の表情を見せる。
 自宅周りにハウス3棟を設置して復旧。このうち1棟は新設で「今回のような異常気象は、これから頻繁に起きるようになる」と考え、パイプの太さを従来の25㍉から32㍉に変更した。2間おきにパイプ補強材を入れ、ハウス全体を強化。冬はホウレンソウやアスパラ菜を栽培するため、降雪前までに融雪設備を設置する予定だ。
 今回の被災を「自然のなせる業になすすべなし」と矢野さん。「成り行きに任せるしかないときもあるのが農業。備えられる対策を十分取って起こったことなら受け入れ、前に進まなければ」と話す。
次号をお楽しみに!