農業共済新聞

トップ > 広報活動 > 農業共済新聞 2022年5月3週号
2022年5月3週号
田園の中でコーヒー店 - 佐藤毅さん

 男鹿市五里合琴川地区の田園風景の中で営業する「珈音焙煎所」。水稲10㌃と小麦10㌃、黒大豆を栽培する店主の佐藤毅たけしさん(47)が17年前にオープンし、自家焙煎コーヒーや地元産小麦を使った全粒粉の食パンが好評を得ている。

 コーヒー豆は本場ブラジルやコロンビアから輸入。焙煎機でガスや空気の量を調節して絶妙な火加減にすることで、まろやかな香りのコーヒー豆ができるという。佐藤さんは「季節ごとの気温の変化や熱の伝わり方で味が変わるため毎回調整している」と話す。
 地元男鹿産と自家産の小麦を全粒粉にして焼き上げた食パンも人気だ。毎週木曜日に焼き、金曜日にネットや店頭で販売するが、すぐに売り切れてしまうほど評判が良いという。カフェを訪れた秋田市の20代女性は「のどかで自然豊かな場所でいただくコーヒーは格別。コーヒーカップがすてきなデザインで目でも楽しめる」と顔をほころばす。
 数年前に水稲と小麦、黒大豆の作付けを始めたことで山の重要性に気付いたという佐藤さん。「耕作放棄した場所が荒地になると水路がふさがれて、どんどん廃れてしまう。手入れを積極的に行い、山の栄養分を含んだ土と水を有効活用していきたい。山の薪でパンを焼くことが理想だ」と話す。
 最近では男鹿の土地に興味を持った大学生が県外から移住。作物の栽培や養蜂事業を始めるために耕作放棄地を耕しているという。「地元の良さを分かってくれることが何よりうれしい。こういう考えを持った若者が増えてほしい」と期待を込める。
 新型コロナウイルス感染拡大の影響で客足が遠のき、営業日は減少。「その分、田や畑の管理に時間を使っている。栽培したものをメニューの材料として活用していけたら」と意欲を見せる。佐藤さんは「以前は『ホタルカフェ』と名付けて夜の営業もしていたので、新型コロナウイルスが収束したらイベントを企画したい」と話している。

 ▽珈音焙煎所=男鹿市五里合琴川前田109、☎0185(3 4)2470。営業時間は午前11時から午後4時まで。営業日は木・金・土曜日。
次号をお楽しみに!