農業共済新聞

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2022年6月2週号
地域守るため加入不可欠 - 武石吉廣さん
 湯沢市山田地区の武石吉廣さん(69)は妻の優子さんと共に、水稲作を柱に据えた経営に取り組む。担い手不足の中、地域からの受託栽培を含む水稲20・2㌶を作付けるほか、エダマメ70㌃やネギ10㌃を手掛ける。
 昨年は天候にも恵まれ、水稲とエダマメ、ネギ全ての出来が良かったという。しかし「あきたこまち」は2014年以来となる2千円以上の価格低下となり、収入に大きな影響を与えた。
 さらに、エダマメとネギは新型コロナウイルスの影響で需要が落ち込み、販売価格が大きく下落。コロナ禍で価格の低下をある程度予想していたが、想定外の下落だったという。「価格が低下しても、おいしいと喜ばれる作物を消費者に届けるには、コロナ禍前と同じようにコストがかかる。昨年は良い作物が生産できただけに残念だ」と肩を落とす。
 保険金を受け取るまで不安だったが、支払いまでの手続きの説明などNOSAI職員の対応がスムーズだったため、安心できたという。「地域の農地を預かっているため、売り上げが落ち込むと地域の人の収入にも影響する。その点、収入保険に加入すると安心して営農できる。加入していて本当に助かった」と安堵する。
 収入保険は制度開始2年目に加入。1年目は悩んだが、既に加入している友人に勧められ、決断した。「自分の過去の収入を基準として補償する仕組みが分かりやすかった。また、補償限度が9割と高く、私も妻も安心感を得た。減収だけでなく、価格の低下など幅広
い要因が補償対象になることにも魅力を感じている」と話す。
 吉廣さんは今後も収入保険に加入し、できる限り営農を続けたいという。「若い人が少しでも農業に取り組みやすい仕組みが必要だ。現在より補償限度を少しでも高くしてほしい」と要望する。
 消防団に長年所属し、20年度末で引退するまで分団長を務めていたため、今でも地域の災害に気を配る。「地域から支えられ、伝えられてきた思いや伝統を少しでも次の世代へつなぎたい」と吉廣さん。「現状を維持しながら、今後は『サキホコレ』の栽培に挑戦したい」と夫婦そろって意欲を見せる。
次号をお楽しみに!