農業共済新聞

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2022年7月3週号
複合経営へ着々 - 五十嵐雅敏さん

 水稲20㌶を手掛ける大潟村の五十嵐雅敏さん(36)。2020年1月に父・敏夫さんから経営移譲を受け、小型無人機(ドローン)を使用した農薬散布やネット販売などに取り組んでいる。複合経営を目標に掲げ、作業の効率化を追い求める。
 「農業への思いが強くなったのは大学時代。父が育てた米を友達と食べた時に『おいしい』と言ってもらえたことがきっかけだ」と雅敏さん。大学卒業後は都内のJAに就職し、金融窓口担当として5年間勤務した。帰郷した13年春に就農し、敏夫さんから栽培技術や知識を学んだ。
 農作業では効率化を追求。作業マニュアルを作成したほか、トラクターへの衛星利用測位システム(GPS)の取り付けなどを行った。雅敏さんは「両親や妻と作業しているが、今後は少ない人手で作業ができるように整理していきたい」と話す。
 19年春にはドローンを導入し、知人農家と共同利用を開始。「村の圃場は1枚当たり1・2㌶と広いため、積載量が多く長時間飛ぶものがいい。今は20分ほどで農薬散布が終わるので効率的だ」と説明する。

 米は株式会社大潟村カントリーエレベーター公社などに出荷するほか、20年からネットで販売している。コロナ禍で米価下落や需要減少の影響を受ける中、新たな販路を築いた。「お客さんの声を直接聞けることがうれしい。『普段お米を食べない子どもが、五十嵐さんのお米なら食べてくれる』と聞き、やりがいを感じた」と笑顔を見せる。
 現在、複合経営に向けた準備を進めている雅敏さん。麦や大豆、カボチャへの転作を考えている。趣味の写真共有アプリ「インスタグラム」では農作業中の姿や村の風景を発信。投稿を見て感動し、米を買ってくれた人もいるという。
 JA大潟村の菅原博樹経営課長は「人口減少や農業情勢の変化がある中で、ドローンや交流サイト(SNS)などを積極的に活用している。雅敏さんをはじめ、村の若い世代に期待している」と評価する。
 雅敏さんは農作業の傍ら、大潟村青色申告会の相談員を務めている。相談を受ける中、自身も税務の知識がさらに身に付き、経営に役立てているという。
 今後は「作業の効率化を図って複合経営を目指したい。村の魅力発信のためにSNSの活用を継続していけたら」と意欲を示す。
次号をお楽しみに!