農業共済新聞

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2022年8月2週号
目標は肥育和牛千頭 - 農事組合法人大進農場
 男鹿市若美角間崎地区の農事組合法人大進農場では、和牛約380頭の肥育と水稲17㌶(主食用米2㌶と飼料用米15㌶)の栽培に取り組む。畜産分野の生産基盤や地域一体となった収益力の強化を目的に「畜産クラスター事業」を活用し、2020年に設立された。スマート農業の実装と地域貢献を軸として、規模拡大に力を入れている。

 1日の仕事は午前6時半に始まる。牛舎を掃除し、決められた時間と場所に餌を置く自動給餌機を稼働させる。進藤俊人代表理事(59)は「機械を使用することで給餌の作業工程が省ける」と話す。さらに大型のファンを設置して、塩素消毒をしながらミストを噴射。常に牛舎内を涼しい環境にできるという。
 その後、牛の状態を観察し、午前の畜舎での作業は終了。同じ工程を午後にもう一度行う。進藤代表の妻・千代美さん(59)、息子夫婦の俊之介さん(30)・美咲さん(30)、作業員の三浦昭一さん(58)が役割を分担する。

 大進農場では子牛を毎月約20頭導入。20カ月肥育して出荷する。中でも厳選された肉は22年6月に商標登録された自社ブランド「和牛なまはげ」として販売。進藤代表は「地域を盛り上げたいという思いから『なまはげ』を取り入れた。ふるさと納税の返礼品にも採用されている」と説明する。

 牛の餌には栽培した飼料用米を給与。ふんは堆肥として稲作に活用する。「地域の農家から頂いた稲わらを餌に混ぜたり、稲わらをもらう代わりに堆肥を提供したりと助け合いを大切にしている」と話す。

 法人化した年には、畜舎や堆肥舎を6億円かけて建設。「孫の代まで100年続けられるように建てた。畜産業に興味のある人がすぐに働けるよう環境を整え、作業マニュアルも作成したい」と将来を見据える。

 現在は監視カメラを設置し、スマートフォンから牛の状態を管理している。今後は牛の首にセンサーを取り付け、一頭一頭の健康状態を把握していく予定だ。「最終的には人の目で直接見ることが重要だが、スマート農業を積極的に導入し、牛舎に一日中いなくてもいいようにしたい。生まれ育った地域に恩返しする気持ちも忘れずに、飼育頭数千頭を目標に頑張りたい」と話す。
次号をお楽しみに!