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2022年9月2週号
葉タバコ栽培が生きがい - 石川スミさん
 「『百姓の仕事が大好き』と思いながら楽しく作業すれば、農業を長く続けられる」と話す鹿角市花輪の石川スミさん(83)。葉タバコ栽培を50年以上続け、現在は30㌃で作付けている。 
 22歳で嫁いだ当時はリンゴを栽培していたが、数年で葉タバコに切り替えた。「当時から葉タバコは所得率が高い。これまで葉タバコ以外の作物を作付けようと思ったことはない」と笑顔を見せる。
 石川さんが作付ける品種は「ゴールドリーフ」。電子たばこに使われていて、国内で栽培できる地域は限られているという。
 時期に応じて部位ごとに葉を取り、最後は8月末に一気に刈り取る。石川さんは「収穫まで毎日畑に行くのが楽しい。収穫は一番大変だが、葉の色や状態が良ければうれしく、全く苦ではない」と話す。
 収穫した葉はハウスや乾燥小屋で計3カ月以上干して乾燥させる。乾燥小屋の2階の床部分はスギの板が隙間を開けて置かれた状態で、風通しが良い。また、除湿器や扇風機を複数台使用し、効率よく水分を取ることを心掛けている。
 その後、12月に日本たばこ産業(JT)へ出荷。乾燥に時間を費やすため、定植や収穫など全体の作業の遅れが生じないように注意しているという。
 「葉タバコを始めた当時は手作業が多く、機械の性能もあまり良くなかった。今は技術が発達し、機械を使うことが増えて楽になった」と話す。昨年は10㌃当たり282㌔を出荷した。
 石川さんは「農業は誰にも縛られず、一日一日を自分のものにして自由自在に働くことができる。こんな良い仕事はない」とほほ笑む。
 十数年前、鹿角市で葉タバコを栽培する農家は約500人だったが、今は50人ほどだという。石川さんも面積が減っているものの、葉タバコ栽培を長年続け、生きがいになっている。「面積が減っても良いから死ぬまで農業を続けたい」と話す。
次号をお楽しみに!