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2022年10月2週号
研さん重ねて安定経営へ - 柴田 裕基さん
 湯沢市三関地区の柴田裕基さん(35)はオウトウ56㌃とリンゴ50㌃を両親と手がける。「物心がついた頃から、両親の背中を追って園地に付いて行っていた。作業を手伝う中、いずれは家業を継ぎたいと思うようになった」と就農のきっかけを話す。
 大学卒業後は地元のスーパーに就職。流通の仕組みや商品管理を学んだ。その後、県の未来農業のフロンティア育成研修を受講。栽培技術や農業経営について総合的に理解を深めたという。
 「三関さくらんぼ」のブランドで栽培されるのは、中生種の「佐藤錦」、晩生種の「紅秀峰」「紅てまり」。主力品種は佐藤錦で、全体の7割ほどを占める。
 「オウトウはたくさんの花を咲かせ、受粉状態が良くないと実らない」と柴田さん。開花期の管理や剪定を学ぶため、同研修の研修先で現在も師事する「リンゴの木に良い花を咲かせる会」(菅雄樹代表、63歳)に加入し、リンゴとオウトウについての勉強を怠らない。
 6月下旬から約2週間でオウトウを収穫するが、近年は収穫期に高温になることが多く、収穫期間が年々短くなっている。今後は労働力分散のため、晩生種を増やすことを検討しているという。
 今年産のオウトウは開花期に降霜や降雪の被害を受けたほか、ハチ類が低温で動きが鈍く着果数が不足するなどの条件が重なり、記録的な不作となった。柴田さんは「悪条件下でも良い果実が取れるようになるのが目標」と話す。
 オウトウはJA出荷のほか、道の駅おがち併設の農産物直売所「菜菜こまち」や、贈答用で販売。選果では不良品がないよう厳しく見極め、箱詰め作業では細心の注意を払う。菅代表は「リンゴは来年の花芽を作る葉で育てることが大切。リンゴ、サクランボの旬とおいしさを追求し、頑張ってもらいたい」と話す。
 冬季にはビニールハウス5棟12㌃でセリも栽培する柴田さん。収入保険に加入するとともに、果樹とセリの栽培で危険分散を図る。「樹の生理への理解をさらに深め、三関さくらんぼを軸に、安定的な農業経営を目指したい」と張り切る。
次号をお楽しみに!