農業共済新聞

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2022年11月2週号
米とアガベを原料に使用 - 稲とアガベ株式会社

 2021年11月に男鹿市船川港で開業した稲とアガベ株式会社(岡住修兵代表、34歳)。旧JR男鹿駅舎を活用した醸造所だ。日本酒の原料となる米と、こうじに加え、テキーラの原料となるアガベシロップを使用して仕込んだ酒「稲とアガベ」を開発。人気を呼んでいる。
 岡住代表は福岡県生まれで、神戸大学在学中に出合った秋田の日本酒「新政」に魅了された。大学卒業後は縁あって新政酒造株式会社に就職。4年半の間、蔵人として過ごし、起業するために退職した。
 退職後は自然栽培に取り組む大潟村の農家の下で米作りを学んだ。加えて「輸出用清酒」と「その他の醸造酒」の製造免許を取得。独自の酒造りに挑戦するため、21年に本格的な製造を始めた。
 原料の米は「ササニシキ」「亀の尾」「改良信交」を使用。大潟村の契約農家から仕入れるほか、能代市の自社圃場で栽培した米も使う。低精米の吟醸酒を理想とする岡住代表は「酒造りでは米を削って雑味につながるタンパク質などを減らしているが、農家の方が手間暇かけた米をできるだけ無駄にしたくない」と話す。自然栽培米を使うことで、精米歩合を90%に抑えているという。
 同社ではこれまで、酵母無添加・水もと造りで酸味と甘みのバランスが取れた男鹿市限定のどぶろく(22年9月発売)のほか、日本酒の発酵段階で副原料を加えて搾った切れの良い「クラフトサケ」など30種類を発売してきた。最高財務責任者の齋藤翔太さん(35)は「今年も酸味とうまみが凝縮されたおいしい酒に仕上がった。おいしい酒を造ることで、男鹿にお客さんが来てくれるとうれしい」と笑顔で話す。
 商品は同社併設ショップ「土と風」や県内外の約75店舗で販売。昨年製造した酒は、全商品を720㍉税込み3300円で販売していた。今年の製造分は内容量などの変更を検討しているという。
 「現在、従業員はパートを含めて13人。将来的には100人程度の雇用を目指している」と話す齋藤さん。「男鹿市内に自社田を増やし、これからもおいしくて、飲みやすい酒を追求していきたい」と意欲を見せる。
次号をお楽しみに!