東北版7月4週号
地元産の魅力発信 リンゴで発泡酒 人が集まる醸造所に - OK,ADAM サイダリー&タップルーム
地元産リンゴを使用した発泡酒「ハードサイダー」の製造を手がける横手市十文字町の株式会社杢が、今年4月に醸造所「OK,ADAMサイダリー&タップルーム」をオープンさせた。これまで他社に委託していた醸造を自社で行い、地元農産物を生かした新商品開発や販路拡大を視野に入れる。
同社の阿部円香代表(32)は2017年に宿泊施設兼飲食店を同市に開業。常連客の若手農家たちと交流する中で、リンゴをベースとし、副原料で地元の農産物を生かすことができるハードサイダーに強い関心を抱いた。20年1月に先進地の米国・ポートランドで
製造工程を体験。帰国後の2月にOK,ADAMのブランドで醸造プロジェクトを立ち上げた。阿部代表は「県内外の醸造所に製造を委託し、20種類以上の商品を手がけてきた」と振り返る。
同時に自社醸造所の立ち上げを進め、JR十文字駅前にある旧書店の物件を改装。設備・機材の導入や免許の取得を経て、念願のオープンにこぎ着けた。
醸造所には500㍑のタンク3個を設置。年間1万2千㍑の製造が可能だ。「今年は6千㍑を計画している」と話す。
基幹商品は地元産リンゴ「やたか」と、「ふじ」や「紅の夢」「紅玉」に同市大雄産ホップの風味を加えた2種のハードサイダーだ。サクランボやモモを副原料として加えた期間限定商品も製造予定だ。
また、たるから搾り立てを飲むことができる飲食スペースを併設。国内外のクラフトビールやハードサイダーも飲むことができる。
醸造責任者の倉田健太郎さん(28)は「地元農産物の素材を生かしながら飲み応えのある商品を造りたい。老若男女が気軽に楽しめるような日本を代表するハードサイダーのスタイルを見つけていく」と話す。
阿部代表は「地元の取扱店を増やすとともに、アジア圏への販路拡大を視野に入れている。本場米国への進出が目標だ」と目を輝かせる。
次号をお楽しみに!