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あきた版9月3週号
県内ス―パー30店に出荷 客層で販売一工夫 - 熊谷拓哉さん、弥生さん

 熊谷果房の熊谷拓哉さん(32)と妻の弥生さん(32)は、大仙市豊岡で果樹と野菜の栽培に励む。地域農業を盛り上げるため、手間を惜しまず、伸び伸び育てたおいしい農作物を提供することを心がけている。
 会社員をしていた拓哉さんは、祖父が急逝したことを機に、2016年に就農を決意。17年に弥生さんも就農し、夫婦で農業を始めた。拓哉さんは「祖父が亡くなったことで果樹農家を廃業するのはもったいない。就農するタイミングは今しかないと思った」と話す。
 祖父から受け継いだ園地は0・8㌶で、現在は面積を1・2㌶に拡大した。「ふじ」「シナノスイート」などリンゴ20品種以上を栽培。ナシは「幸水」「あきづき」など20品種を手がける。「ブルークロップ」「チャンドラー」などブルーベリー7品種のほか、洋ナシやモモ、プルーンを栽培する。
 弥生さんは「果物はほとんど自宅での直売だが、口コミで広まり、ありがたいことに毎年完売する。自分の作った物を『おいしい』と言われることが、何よりうれしい」とほほ笑む。
 また、高校、大学と水耕栽培を学んだ拓哉さんは経験を生かし、ビニールハウス1棟で
リーフレタスとニンニクスプラウトを水耕栽培する。冬場でも収益を得られ、通年で出荷している。
 県内のタカヤナギやいとくなど約30店舗のスーパーに卸す。熊谷さん夫妻は各店舗の客層の違いに着目し、販売方法を工夫しているという。「若年層が多い店舗や高齢者が多い店舗、ファミリー層が多い店舗など客層はさまざまだ。それにより1袋に入

れる野菜の量と値段を変えて販売したところ、売り上げが伸びた」と話す。
 農繁期には拓哉さんの同級生で農家の小松瑞穂さん(32)と、労働力をシェアして人手不足を補う。小松さんは「稲作をしているので、普段と違う農作業を経験できて楽しい」と話す。
 地域農業に貢献したい気持ちが強い拓哉さん。「利益を出すことも重要だが、地域の土地を守り、農業を面白いと思ってくれる人を増やすことが目標だ。そのために効率よく労働力をシェアし、規模拡大を目指したい」と展望を抱く。
次号をお楽しみに!