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東北版9月2週号
両親の背を見て就農 農とともに歩み続け - 星容子さん

 「幼いころの両親との思い出が就農のきっかけ」と話す秋田市河辺の星容子さん(44)は、両親とタマネギ1・3㌶や長ネギ30㌃、ハウス1棟4×25間でピーマンを手がけている。星さんはタマネギの端境期出荷で収益を上げるなどの工夫をする。また、地元保育園で食育活動に励むほか、こども食堂に野菜を提供するなど、農業とともに歩みを進めている。
 星さんは「幼いころ、両親は深夜から早朝までピーマンの出荷準備をしていた。大変なはずなのに楽しそうに作業していたことが印象的だった」と振り返る。もともと県外で働いていたが、このエピソードを思い出し、両親と野菜を作りたいとの思いから帰郷。2016年に就農した。
 現在は両親と「せせらぎ農園」を経営。タマネギ栽培に注力する。就農当時の同市では秋植えが大半だったため春植えに着目し、時期をずらして収益を上げる工夫をした。代わりに秋は赤タマネギを作付け、差別化を図っている。肥料や農薬は極力使わずに地元養鶏場の鶏ふんを用いることで、自然に近い野菜作りを心がけているという。
 農作業の傍ら、食育活動にも取り組んでいる。地元保育園でジャガイモやサツマイモの

定植・収穫の手伝いをするほか、市内のこども食堂へ野菜を提供している。「子どもたちにはいつも満腹でいてほしい。いつか父とこども食堂を開くことが夢の一つ」と笑顔で話す。
 同じ女性農家として親交がある同市下新城の武藤恭子さん(46)は「星さんは消費者の幸せを常に考えて作業している。農薬に頼らないので除草が大変そうだが、おいしい野菜のためには手間を惜しまない一生懸命な女性」と話す。
 星さんは、災害に備えて収入保険と園芸施設共済に加入。被害が起きる前にできることを考え、対策を講じるように意識している。
 2児の子育てと農業を両立している星さんは「野菜作りと子育ては似ていて、相手が求めるものを考えることが大切。今の大変さは次へつながる良いきっかけだと思って頑張りたい」と前向きだ。
次号をお楽しみに!