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あきた版2月1週号
野菜の若芽・若葉「マイクロリーフ」 通年収入を生む - 佐々木友哉さん

 水稲1・6㌶や小麦1㌶を手がける藤里町粕毛の佐々木友哉さん(32)。2021年から自作した栽培室約50平方㍍で、野菜の若芽・若葉「マイクロリーフ」を栽培している。農閑期の冬でも取り組める営農で通年収入を生み、経営の安定につなげている。
 マイクロリーフは、発芽1週間から3週間で出荷する5㌢弱の若芽野菜の総称。ビタミンなど栄養の密度が成熟野菜より高いとされ、1葉で作物独自の風味を味わえる食材だ。サラダの材料や、料理に添える飾りに使われる。 
 20年に農業を始めた佐々木さん。複合経営で所得向上を図り、小空間で通年栽培可能なマイクロリーフに着目した。
 同町の起業家人材発掘育成事業の支援を受け、発光ダイオード
(LED)照明や空調機器を導入し、栽培環境を整備。試作品が評価され、秋田市の青果店に販路をつくり、21年9月から生産を本格化させた。
 現在は「スイスチャード」「レモンバーム」など12品目を栽培。1パック5㌘から10㌘単位で、月に500パックを県内外の青果店やホテルに出荷する。
 佐々木さんは「室内で天候に左右されず年中栽培できる。育苗箱1枚に3㌘から10㌘の種を播く作業なので重労働でもない。栽培面積の割に収益率が高い」と利点を話す。

 床土作りに注力。湧き水を利用し、米ぬかや白神山地で発見された「白神こだま酵母」を床土に混ぜる。農薬や化学肥料を使わずに、微生物と酵母の力で作物の成長を促す。
 栽培サイクルが早いため、摘み取りが遅れると風味が損なわれるという。佐々木さんは、品目ごとの収穫適期を見極めて、消費者に一番おいしい状態で届けられるように心がけている。
 秋田市民市場内に青果店を構える「あいば商店」の相場百恵代表(35)は「佐々木さんのマイクロリーフは、納品の金曜日に即日店頭からなくなるほどの人気。多い時は20店舗の飲食店関係者が購入に訪れる。見た目がかわいくて、料理が映えると評判がいい」と評価する。
 就農時から、故郷の農業振興に貢献したいと考えていた佐々木さん。「生産を拡大し、マイクロリーフ栽培を魅力ある取り組みに発展させたい。就農や複合経営を考える人にとって、可能性の一つになればうれしい」と話している。
次号をお楽しみに!