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あきた版1月1週号
100㌔離れた2拠点で営農 - 長谷川麻理子さん

 秋田市と、由利本荘市にある実家の圃場を行き来して営農する秋田市下新城の萬吉菜園代表の長谷川麻理子さん(43)。就農6年目の現在、主力のネギ30㌃やオクラなど野菜20㌃のほか、水稲55㌃、2023年からはソバ2・7㌶も手がける。人工知能(AI)による栽培管理システムなども活用しながら、約100㌔も離れた圃場を管理する。
 前職で体調を崩し療養していた長谷川さんは、現在のビジネスパートナーの先輩女性農業士からアドバイスを受け、就農を決意した。18年から2年間、県の「未来農業のフロンティア育成研修」でネギを中心とした多品目の野菜を学んだ。当初から露地栽培に取り組みたいと考えていた長谷川さんは「ネギは県の補助も手厚い。真っすぐな畝と、真っすぐに成長するところが魅力的で自分に合っていると感じた」と選択理由を話す。
 ネギは11月に播種。翌年7月上旬から12月まで収穫する。夏取りの「夏扇パワー」や「ホワイトソード」など4品種を手がける。収穫時期が重ならないよう、2週間ずつずらして種を播く。適期に出荷できるよう工夫し、ロスをほとんど発生させない。
 「持論だが、栽培では極力余計なことはせず、防除は収穫前まで2回。除草も必要最低限にとどめている」という長谷川さん。就農当時は奇麗で雑草のない圃場を心がけていたが、2年前の大雨で圃場の浸水被害を受けた。その際、少し残しておいた雑草が余分な水分を吸収する役目を担い、病害虫もネギに寄り付きづらくなったという。
 長谷川さんはJAあきた湖東へ夏扇パワーを出荷。その他の品種は個人での直売や、飲食店への出荷なども行う。「『麻理子のネギがおいしい。やっぱりこれじゃないとね』と消費者の声が直接耳に届く瞬間にうれしさを感じる」と話す。
 周囲の人たちに助けられた経験から、人とのつながりを大切にする長谷川さん。「自分ができる範囲で責任を持って良品を作る。1次産業が衰退しないよう、頑張り続けたい」と意欲を見せる。
次号をお楽しみに!