あきた版3月1週号
「白神ねぎ」販売 初の20億円突破 - 有限会社大和農園代表 大塚和浩
JAあきた白神(本店・能代市)が商標登録する「白神ねぎ」の販売額が、本年度初めて20億円を超えた。気象災害が少なく太物の出荷が順調で、高単価になったことが要因。同市では冬季も生産に取り組む農家がいるため、年度末までさらなる販売額の上積みが続く。
白神ねぎは、同JAが2012年に商標登録したブランド野菜。同市と藤里町の約180経営体が226㌶で栽培し、首都圏市場を中心に出荷している。これまでの最高販売額は20年度の17億7531万円。本年度は生産が順調に推移したほか、他産地が不作で市場が品薄高となり、12月中旬に20億円に達した。
1㌔当たりの累計単価は434円。計画単価の358円を超え、7月から400円台が続いているという。1月末の販売額は21億8360万円で、出荷量は5033㌧。年度計画の21億979万円を達成している。
同市河戸川でネギ18㌶を栽培する有限会社大和農園代表の大塚和浩さん(63)は「20億円超えには自治体の支援も後押しになった」と話す。同市は本年度、連作障害対策として圃場転換を図る農家と地主に対し、10㌃当たり最大5万4千円の補助金交付事業を開始。ネギから他品目へ
の転換もしくはネギの休耕を行うと同時に、ネギを新たな圃場で作付けすることが条件だ。51経営体が54㌶で実施し、3013万円が交付されるという。
同JAねぎ部会長を17年から務める大塚さん。「生産者や自治体、JAが一丸となって、これからも販売額20億円を達成し続けたい」と意気込む。同JA営農部営農企画課の齊藤祐也係長は「大塚部会長には、今後も地域のネギ生産をけん引していただきたい。JAも栽培技術指導など組合員に寄り添い、引き続きネギ生産振興に注力していく」と話す。
大塚さんは営農リスクへの備えが重要と考え、部会員に収入保険
加入を勧める。「22年8月の豪雨で、砂丘地の圃場が沼のようになり6㌶のネギが腐った。
保険金を受け取って救われた経験があり、部会では経営維持に必要な保険だと何度も訴えている」と話す。現在、部会員79人が収入保険に加入している。
同市内では、大和農園を含む7戸が「白神雪中ねぎ」を生産するなど、3月末まで出荷が続く。大塚さんは「将来、販売額30億円を達成したい。若手農家が増え、東雲地区など広大な農地がある。白神ねぎ生産はまだ伸びていくことが可能だ」と話している。
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