あきた版2月3週号
ミニトマトのドライ加工 さらなる収益を - 農事組合法人 田高
「糖度が高いため、乾燥させるとうまみが凝縮される」と話すのは、由利本荘市西目町の三浦誠さん(61)。代表理事を務める農事組合法人田高では、米や大豆などの栽培と並行して6次産業化を進める。買い取り価格が低下する収穫期終盤のミニトマトをドライ加工。数量限定で製造し、さらなる収益を確保するために取り組む。
2008年に集落営農組合から法人化し、現在は構成戸数28戸で活動。水稲27㌶と大豆20㌶のほか、タマネギ1㌶とハウス5棟でミニトマトを栽培する。設立当初から水稲育苗後のハウスでミニトマトを栽培し「サンチェリーピュア」「サマー千果」「フラガール」を作付けする。10年からドライトマトの販売に取り組む。
同法人では、ミニトマトに含まれるリコピンの抗酸化作用や、血液をサラサラにする効果に着目。「栄養価の高いミニトマトを、高齢者の栄養補給に使えないかと考えたのが開発のきっかけ」と三浦善信理事(71)は振り返る。当時は6次産業化を推進する動きもあり、挑戦を決めたという。
スライサーで輪切りにしたミニトマトを、60度で12時間乾燥機にかける。一度休ませた後、さらに6時間乾燥。調味料や保存料などを一切加えず無添加、無着色を徹底する。昨年はスライスタイプの「ポリポリ」15㌘入りを150袋ほど製造した。
同市内の道の駅にしめや、県内のグランマート各店舗で販売している。道の駅にしめの佐々木一栄支配人は「地元産では珍しい商品で認知度が年々上がっている。50代から70代の女性リピーターが多く、好評だ」と紹介。三浦理事は今後について「販路拡大を目指す
ほか、製造を現在中止中の粉末タイプを改良し、再販したい」と話す。
昨年7月の記録的な大雨で、作付面積の半分以上が被災した同法人。圃場への土砂流入や畦畔崩落などで2・4㌶がいまだ復旧していない。被害を嘆くだけでなく、明るくいようと思考をポジティブに切り替えた。圃場に流れ着いた流木でベンチを2脚制作した。三浦代表理事は「こんなことがあったなと記憶しておくために作った。大変な時こそユーモアを取り入れ、乗り越えていかなければ」と前を向く。
次号をお楽しみに!