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東北版3月2週号
秋田の冬野菜「フクタチ」 密植栽培に挑戦 - 仙道忠秋さん

 ハクサイの種から栽培できる「フクタチ」は、秋田県の内陸南部だけで栽培されている冬野菜で、幻の野菜と呼ばれている。羽後町郡山でビニールハウス3棟(180坪)で栽培に取り組む仙道忠秋さん(73)は、温暖化の影響で収量が減ったことから今年、密植栽培に挑戦。現在、収穫の最盛期を迎え、作業に汗を流す。
 前年の10月に種を播き、結球する前の2月末から4月まで収穫する。栽培する上で重要なのが「とう立ち」。成長してきた苗が種を残すため葉の中に花芽を形成し、芯を伸ばし始めることを指す。この状態で収穫したハクサイをこの地域ではフクタチと呼び、甘みが強いの
が特長だ。
 昨年まで間隔を空けて植えることで脇芽を成長させ、再度収穫を可能にしていた仙道さん。しかし、2020年以降、暖冬が続き、脇芽の成長が早まり開花してしまうため、出荷可能なフクタチが減ったという。気候の変化に合わせて、今年からシーズンに一度だけ収穫する密植栽培を始めた。「今年の寒さは平年並みで収穫は順調。寒暖差によって生じるフクタチの甘みも例年通りになりそうだ」と話す。
 仙道さんはオクラ300坪、ストック120坪を栽培した後、フクタチに取りかかる。「病気がほとんどなく、オクラとストックの堆肥の余りを使うだけで済む」と話す。
 出荷先のJAうご営農販売課佐藤重信課長は「仙道さんはフクタチのハウス栽培の第一人者。とう立ちを重視し、おいしさを追求している」と評価する。管内では、仙道さんを含めて15戸が栽培。今年は19㌧の出荷を目標に掲げる。
 仙道さんが栽培を始めてから約50年。当初は町内の朝市に出荷し、横手市、秋田市へと販路を拡大した。「生産者の妻たちがスーパーに出向き試食販売を行い、知名度が徐々に向上した。今はJAが中心となり広報活動を行っている。協力してくれた方々に感謝する」と話していた。
次号をお楽しみに!