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2021年3月2週号 ふるさと納税返礼品③
滝の頭湧水利用した「あきたこまち」 - いりあいファーム滝の頭
 男鹿市五里合の農事組合法人いりあいファーム滝の頭(鈴木和俊代表、67歳、従業員4人、構成員52人)では、寒風山の麓から湧き出る「滝の頭湧水」だけを利用して栽培した「あきたこまち」を「男鹿の湧水 滝の頭米」として発売した。昨年12月から男鹿市のふるさと納税返礼品に採用されているほか、道の駅おがに併設された複合観光施設オガーレで販売されている。
 滝の頭湧水は、寒風山に降った雨や雪が20年以上かけて地表に出た湧き水。湧出量は1日約2万5千㌧で、古くから男鹿市の上水道や農業用水として利用されている。
 いりあいファーム滝の頭では水稲170㌶やネギ6㌶、大豆3・8㌶、発酵粗飼料WCS)用稲0・4㌶などを作付けし、このうち水稲50㌶で滝の頭湧水を農業用水に使う。昨年3月には、過去に男鹿市が商標登録した「男鹿の湧水 滝の頭米」の権利を譲り受け、12月から販売。今年1月にふるさと納税返礼品の発送が始まり、首都圏を中心に、遠くは九州からも注文が入っている。購入した秋田市に住む40代の男性は「甘味と粘りが強く、冷めてもおいしい。おにぎりにすると違いが分かる」と話す。

 「新型コロナウイルスの影響で、2021年産の米価が見通せない状況だ。商品に付加価値を付け、販路を拡大する必要を感じた。単価の高い直接販売による収入を増やし、リスクを分散していきたい」と販売のきっかけを振り返る鈴木代表。23年には、自家栽培の酒米を使ったオリジナル日本酒の販売を始める予定だ。
 ふるさと納税を担当する男鹿市男鹿まるごと売込課の千葉聡副主幹は、「米は返礼品の中でも注文が多く、各事業者が独自の色を出している。滝の頭湧水は全国的には知名度不足で売り方が確立されていないのが現状。事業者には顧客をつかむためのツールとして、ふるさと納税を活用してもらいたい。販路拡大のための支援事業などを通じ、今後もサポートしていきたい」と話す。
 ふるさと納税の返礼品では、玄米30㌔(寄付額2万6千円)、無洗米10㌔(同1万4千円)を用意。複合観光施設オガーレでは、上白30㌔1 万円、上白5㌔2500円、無洗米2㌔千円で販売している。今後はスーパーやホームセンターなどでの販売を目指す。
次号をお楽しみに!