あきた版1月3週号
ブランド米「サキホコレ」 飽くなき探究心 - 藤原宣一さん
食味を追求して開発され、秋田米のけん引役と期待される「サキホコレ」。羽後町水沢地区の藤原宣一さん(68)は2022年から生産を手がけている。丁寧な栽培が評価され、昨年の第146回秋田県種苗交換会で開かれた第42回秋田県産米品評会で最優秀賞を受賞した。
藤原さんはサキホコレ60㌃や「あきたこまち」3・5㌶を栽培。水田には同町太平山から伏流水が流れ込む。冷涼な風も相まって寒暖差があり、米作りに適した場所だ。
また、藤原さんが組合員になっているJ A うごでは、古くから土作りに取り組み、春先に管内で生産される堆肥を水田に投入する。藤原さんの圃場にも継続して施用してきた。
サキホコレは、あきたこまちより田植えが早く、収穫が遅い。昨年は雪解けが早く、作業が順当に進み、本田移植はサキホコレが5月20日、あきたこまちが5月25日になり、幸先の良いスタートが切れた。
天候や気温の変化に注意しているが、近年は気候変動が大きく、昨年の高温による被害には特に苦慮した。藤原さんは「天候が不安定で、ここ数年の農作業は、毎年一年生みたいなものだ」と話す。
サキホコレは品質と食味を確保するため、農薬の使用回数や品質・出荷基準など厳しい条件が設けられている。農薬の使用成分回数を慣行の半分以下に削減することが求められるため、畦けい畔はんの除草には薬剤を使わず草刈機を利用する。田植え後の防除には、いもち病と斑点米カメムシを対象に、羽後町無人ヘリ防除推進協議会で農薬散布を1回実施した。
また、水沢集落防除班の代表を務める藤原さんは、あきたこまちの圃場を高性能防除機で2回散布。適期防除ができた結果、藤原さんの圃場周辺は、いもち病やカメムシの被害が発生しなかった。
同JA営農販売課の小野貴広主幹は「藤原さんの手がけた米が、秋田県で一番の評価をもらったことは大変喜ばしいとともに誇りだ」と話す。
サキホコレは、あきたこまちと比べ栽培期間が長く、手間がかかる品種だが、やりがいと面白みがあるという。藤原さんは「県内の優良農家や法人がこぞって栽培している。その中で受賞できたことに驚いているし、光栄だ。今年は連覇を狙っていきたい」と賞状を手に笑顔を見せる。
次号をお楽しみに!