「自然に囲まれた鹿角で、農業に関わりたい」と、31年ぶりに東京から帰郷した鹿角市花輪の田口博樹さん(50)。今年の春、妻と念願の米作りをスタートさせた。
同市の観光コンシェルジュとして勤める傍ら、営農に励む田口さん。全国的にも栽培面積が少なく、希少品種「ササシグレ」を10㌃作付けた。種もみは宮城県から取り寄せたという。粘り気が少なく、さっぱりとした食味が特徴で「都内在住時に食べる機会があった。自分好みでおいしかったので、栽培に挑戦することにした」と話す。
田口さんは耕作放棄地を再生して栽培に取り組む。化学肥料を使用せず、農薬もほとんど散布していないが、順調に生育した。「わずかだが放棄地解消の一助になればとの思いもあった。食べるのが楽しみだ」とほほ笑む。
自宅近くの畑で野菜も作る田口さん。「将来は妻と地産地消の食事を提供する店のオープンが目標」と話す。準備段階として、愛車のテュクテュクをキッチンカーのように活用し、イベント出店を企画中だ。