農業共済新聞

トップ > 広報活動 > 農業共済新聞 あきた版10月3週号
あきた版10月3週号
キュウリ 収量増へ品種選定 - 金沢広美さん

 露地キュウリ10㌃、水稲60㌃、シイタケ菌床3000ブロック、リンゴ30㌃を栽培する鹿角市花輪の金沢広美さん(66)。定年退職を迎えた6年前から専業農家となり、年間を通して切れ目なく作業を進められる品目で営農に励む。
 キュウリの栽培は約40年前に専業農家だった父親が始めた。当時は会社に勤めながら朝晩と休日に手伝い、農作業の仕方を覚えてきた金沢さん。父親が高齢になったため、現在は妻と母親の3人で作業を行う。「最近は同居する長男も進んで手伝ってくれ、ありがたい。農業は大変なことも多いが、高値で取引されるとうれしく、やりがいも感じる」と話す。
 今年は「夏映」400本、「なつめく」200本を選定。5月10日頃、接ぎ木した苗を購入し、5月末頃までハウス内で育てた後、定植。6月中は灌水システムを活用しながら、水分と養分を十分与え、整枝、摘心と誘引作業を進める。
 7月上旬からは収穫作業も始まり、早朝と午後3時頃の1日2回行

う。はさみを当て長さを確認しながら、22から24㌢の規格に合わせ収穫。「農作業場での選別と箱詰めは母親が担当。長年培った熟練の技にはかなわない」と笑う。
 露地栽培のため、天候の影響を受けやすいのが悩み。近年は温暖化の影響で高温が続くことも多く、生育が早まっているという。収穫が追い付かず長くなり過ぎたり、大きく膨らみ奇形になったりして、出荷できないものも多く見受けられるようになった。
 根が過湿や乾燥に弱いため、水の管理に細心の注意を払う。金沢さんの圃場は目の届きやすい自宅のすぐ脇にあり、なだらかな傾斜がついている。「水はけが良いので、雨が続いても過湿になりにくい。栽培に適した土壌で助かっている」と話す。
 金沢さんは今年、種苗業者や所属しているJA部会などからの情報を基に、品種を切り替えた。「圃場に合っていて昨年より収量を確
保でき、とても良かった」と笑顔を見せる。
 JAかづの営農経済部営農販売課の黒澤正浩リーダーは「金沢さんは病害虫防除や管理も丁寧に行っていて、毎年10月中旬まで出荷し続ける努力家だ」と話す。年間14㌧ほどの出荷実績が見込まれ、今後の取り組みに期待を寄せている。
 現在、水稲共済と果樹共済に加入する金沢さん。キュウリは数年前、クマの食害に遭ってから電気柵を設置し備えているが、最近はイノシシも増加し心配を募らせる。NOSAI職員からの説明を受け、全ての品目のさまざまなリスクに対応できる収入保険への加入を前向きに検討中だ。
 収穫の最盛期を過ぎる8月中旬以降が、腕の見せどころと考える。降霜のない限り収穫できるよう、工夫に余念がない。「前年よりも収量を増やすことを目標に掲げている。規模拡大も視野に入れ、これからも高品質な鹿角のキュウリを作り続けたい」と前向きだ。
次号をお楽しみに!