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あきた版11月1週号
園地整備、剪定、消毒……一つ一つ学びながら - あゆかわフルーツファーム

 由利本荘市子吉地区で、荒れた果樹園地70㌃を復活させようと有志が立ち上がった。「経験者不在の素人集団だが協力して取り組んでいる」と話す熊谷茂さん(66)が代表を務め、仲間たちは知識ゼロからのリンゴ栽培を行う。
 2022年9月に「あゆかわフルーツファーム」と名付けて始動。集落内外の12人で構成し、全員が仕事を持ちながら主に週末に集まって作業する。長年放任された園地は、雑草の草丈が2㍍にも及び、樹体には葉がほぼなくなり弱っていた。
 草刈りなど園地整備を行い、23年春から本格的に「ふじ」「つがる」「王林」などの栽培に着手。県の果樹担当者を招いて園地で講

習を受けるなど、一つ一つ勉強しながら進めた。リンゴ栽培の要となる剪定に手間取り、計画に遅れが出てしまったが「やれる範囲で気楽に、まずは経験と考え、完璧を求めず取り組んだ」と熊谷代表は話す。無事に花が咲き、結実した時は喜びを分かち合った。
 小まめな病害虫防除と草刈りに苦労するが、開放的な園地で作業に没頭することが気分転換になっているという。新たに「シナノスイート」「シナノゴールド」の苗木を定植。「目標よりもかなり少ない収穫量だったが、園地再生は一歩前進」と振り返る。
 2年目の今年は、病害の発生や枯死している樹体を伐採し、消毒作業に注力。廃棄リンゴと刈った草に発酵促進剤を混ぜた堆肥作り
にも挑戦した。順調な生育を見せたが、7月の大雨で防除が予定通りできず、褐斑病が進行。病害対策に苦戦しながら迎えた9月上旬、落果が多く見られたものの収穫量は昨年を上回った。また、味と香りも向上し、管理の手応えを感じている。
 これから収穫期を迎える品種にも期待を寄せ、今年はジュース加工を目標に掲げる。放任園地からの復活リンゴとしてアピールしていきたい展望だ。発泡性果実酒「シードル」作りの夢を持ち、新たな価値創出に意欲を見せる。
 昨年、由利地域で技術指導をしていた雄勝地域振興局農林部農業振興普及課の佐藤智則副主幹は「地域の風景と産地継続のチャレンジとしてこれからも楽しんで栽培してほしい。シードルが完成した時には、一緒に乾杯できたらうれしい」とエールを送る。
 活動の様子は写真共有アプリ「インスタグラム」(@ayukawa_fruit_farm)で随時更新中。
次号をお楽しみに!